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パリ五輪の競技種目で空手落選の謎。
「除外された理由を開示して欲しい」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKyodo News
posted2019/03/09 11:00
2016年8月、リオデジャネイロにて東京五輪の追加種目「空手」を審議していた時のIOC総会。
パリはOKなのに、なぜ?
空手界にとっては驚天動地のアナウンスがあった直後、世界空手連盟のエスカランテ審判委員会委員長が新ルールの講習会出席のため来日した。
その時、日本の空手関係者にこんなことを漏らしている。
「そもそもパリ市議会が提出した追加種目の中には東京で追加種目となったサーフィン、スポーツクライミング、スケートボードとともに、空手やブレークダンスも入っていた。しかも、リストの中では空手はブレークダンスの上だった。そこで我々は、パリでも空手が採用されると確信し、前祝いで祝杯をあげたくらいなのに……」
むしろ若年層が多い空手愛好家。
まさかの流れに日本の空手関係者もショックを隠しきれないが、指をくわえて事の推移を見守っているわけではない。
日下事務局長はWKFを通じIOCに対して「空手が除外された理由を開示してほしい」という書簡を送ったことを明かした。
「パリ市議会では通っているのに、なぜ組織委員会でNGになったのか? それともIOCの方から外せという話になったのか? 世間ではいろいろな噂が流れているけど、そのへんが本当によくわからない」
組織委員会はブレークダンスを推す理由のひとつとして「若者への訴求力」を挙げる。
だったら空手は若者から支持されていないのか?
答えは否、である。
日下事務局長は「空手の場合、むしろ子供が多い」と主張した。
「日本では礼儀やしつけを教えてもらえる場として子供を空手道場に通わせる親が多い。
文科省が発表した民間スポーツ施設の統計を見ても、空手の道場数は多い。町道場を通して空手の底辺は順調に広がっていると思っていたんですけどね」