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パリ五輪の競技種目で空手落選の謎。
「除外された理由を開示して欲しい」
posted2019/03/09 11:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Kyodo News
いったい何が起こったのか――。
2月21日(現地時間)、パリ・オリンピック組織委員会は追加競技候補から野球・ソフトボールとともに空手を除外する方針を固めたことを発表した。
知っての通り、空手は2020年の東京五輪で初めて五輪種目に採用されることが決まっている。その原動力は、2014年12月の国際オリンピック委員会(IOC)総会でIOCのトーマス・バッハ会長がプッシュする形で可決された『アジェンダ2020』という未来の五輪に対する中長期改革計画だ。
その中に「開催地に追加種目の提案権を与える」という改革案もあった。そこで東京は追加種目として日本発祥の武道である空手を新種目として提案することが可能となり、その結果2016年8月のIOC総会で追加種目として承認されるに至った。
正式種目に決定した直後、世界空手連盟(WKF)のアントニオ・エスピノス会長は歓喜のメッセージを発信している。
「1970年に日本武道館で第1回世界空手道選手権が開催された時、その50年後同じ場所へ空手が五輪スポーツとして戻ってくることを誰が予想できたでしょうか?」
初めての五輪を来年に控え、空手界は一丸となってモチベーションを高めていただけに、天国から地獄へと突き落とされた格好だ。
なぜ、突然除外の対象となってしまったのか。
東京五輪を見てから決めるべきでは?
全日本空手道連盟(JKF)の日下修次事務局長は「不思議で仕方がない」と首を傾げる。
「我々としては東京五輪を見てから次の追加種目を決めてもいいのではないかと思っている。実際に空手の組手や形を見てもらったら、『面白いじゃないか』と言ってもらえると思っていたので」
そもそも空手は東京五輪の限定追加種目だったが、2024年の開催地がパリに決定すると、空手関係者の誰もが再び追加種目として採用されると信じる気持ちになったのだという。
「フランスは柔道とともに空手がひじょうに盛んなお国柄で、昨年の世界選手権でも日本やイランに次ぐメダル数を獲得しているほど。ちゃんとロビー活動もしていたようなので、関係者も安心していた」(日下事務局長)