Beyond The GameBACK NUMBER
日程の大胆見直しで甲子園の罪よ、さらば。
~有力な投手の負けを願わねばならない日程は終わりにしよう~
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2018/09/02 17:00
総入場者数が史上初めて100万人を突破した今大会。勝者にも敗者にも惜しみない拍手が贈られた。
「負けた方がいい」
こう思う心に罪を感じる。
だが今夏の第100回全国高校野球選手権大会で準優勝した秋田・金足農業が勝ち進めば勝ち進むほど、悪の心が頭をもたげた。
公立農業高校で、ベンチ入りの18人が全員地元出身というチームは、まさに高校野球。しかも勝ち進む追加属性につれてナインが成長していく姿は、まるでマンガかテレビドラマのようだった。
勝ち方もいい。3回戦は優勝候補の横浜相手に高橋佑輔内野手の公式戦初アーチの3ランで逆転勝ち。準々決勝の近江戦で決めたサヨナラ2ランスクイズもアッと驚かせた。そして準決勝では強打の日大三を、エース・吉田輝星投手の快投で抑え込んでの決勝進出。最後はタレント軍団・大阪桐蔭に屈したが、彼らの戦いには高校野球のカタルシスがあった。