JリーグPRESSBACK NUMBER
J1湘南に戻った武富、中川、古林が
“復帰”という表現を否定する理由。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/02/21 17:00
2014年の武富孝介(中央)と中川寛斗(右)。湘南に戻っても「新しいチーム」という気持ちで戦いに臨む。
下部組織出身・古林が思うこと。
そしてもう1人、3年ぶりにチームへと加入する男がいる。湘南の下部組織で育ち、湘南でプロキャリアをスタートさせた古林である。
新体制発表会見で「また湘南ベルマーレというクラブでプレーできることを本当に感謝しています」と語ったように、古巣に再び加入したことに誰よりも喜びを感じているのは古林だろう。
とはいえ、喜んでばかりはいられない。'16年に湘南から名古屋へ移籍して以降、チームは3年で大きく変化。「チームはまるっきり変わっている。知っている選手も少ないし、コーチ陣もわからない。本当に新しいチームに来たつもりでやっている」と言うように、新加入選手として再び自分の価値を証明していかなければならない。
ADVERTISEMENT
「昨年J1に残留できたようにチームのレベルは上がっていると思うし、強くなっているのは間違いない。そこに自分のいいところをどんどん出せればと思うし、このチームでいろいろなアクセントを加えていかないといけない」
ただ、先の2人とは違うスタンスも持っている。名古屋、仙台といった他のクラブを見てきた上で、小さい頃から育ててもらったクラブに戻ってきたからこそ思うところがある。
「競争はもちろんだけど、そこを気にしていたらなかなかいいプレーもできない。チームを勝たせるためにどう戦うかを自分の中でも考えていきたい。若い頃は試合に出なければと思っていた。ただ、試合に出ることはもちろんだけど、その中でチームがどうやったら勝てるか、そういうのを意識していきたい」
自分を見つけてくれた大事なクラブゆえに、古林は人一倍チームの勝利を願っている。
「キツいけど楽しいですよ」
三者三様の思いを持って新たに湘南の一員になった3人。
ただ曹貴裁監督の下、厳しいトレーニングをこなしながら「キツイけど楽しいですよ」と口を揃えるあたり、やはり3人には確かな湘南の血が流れている。
開幕まであと少し。
様々な経験を手にして新たに加わった3人は、またどこまでも愚直にプレーする姿勢をピッチで見せてくれるはずだ。