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J1湘南に戻った武富、中川、古林が
“復帰”という表現を否定する理由。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/02/21 17:00
2014年の武富孝介(中央)と中川寛斗(右)。湘南に戻っても「新しいチーム」という気持ちで戦いに臨む。
ハードに愚直にプレーする特殊さ。
4年も離れていたチームに、迷いもなく行きたいと思わせるものは何か。その答えも明確だった。
「自分の中で憧れではないけど、やっぱり湘南のサッカーは特殊だし、すごく魅力的だと思っていた。ルヴァンカップの決勝でもベルマーレらしさを見せていたし、あの試合もアグレッシブさや、ハードに愚直にプレーするというのが思いっきり出た試合だったと思います。
柏と浦和で4年やってきて思うのは、ベルマーレの良さだったり、ベルマーレでなければできないことがあったりする。そういうところを今年は伸び伸びやっていくことが大事だと思っています」
中川「目標をつかみ取る場所」
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一方、柏に戻ってからの4年間で公式戦85試合に出場した中川は、プロ1、2年目を過ごした湘南時代と比べても大きく成長を遂げている。年を重ねて酸いも甘いも噛み分けたことで一段と大人になった印象だ。
そんな中川は今回の湘南加入に際して、前回の加入時とは違うスタンスでいることを強調している。
「プロ1、2年目で湘南にお世話になった時は、“成長できる”というところで来た。でも4年間、湘南を外から見ていると、もう成長だけを求めている選手はいないなと思います。結果にこだわる選手が集まり、目標をつかみ取る場所だと思っている。このチームは成長の場ではなく、リーグのトップにいるべきだとすごく感じた。あの時とは全く違うチームだと思って来ています」
この言葉は重みを感じさせる。中川らが在籍した当時の湘南は“エレベータークラブ”と言われ、J1とJ2を行き来する存在だった。だが、一歩一歩着実に前へと進んできたことで、そういった印象は徐々に薄れている。昨季はJ1残留とルヴァンカップ制覇を達成。誰もが認めるJ1に居続けるチームへの進化の途上にいる。
大きくレベルアップしたチームで成し遂げたいことは何か。中川は語気を強める。
「湘南は今の日本サッカー界で自分たちのスタイルをしっかり持ち、地域と共に一体感を持ってやっているチームだと思う。そして日本の未来を考えても、お手本の1つになるチームかなと僕は思います。その中で今度は僕が還元する番。チームを助けるようにやっていきたいし、覚悟を持って戦っていきたいです」