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東京五輪クライミングを本気で予想。
男子は金メダル本命、女子は対抗か。
text by
森山憲一Kenichi Moriyama
photograph byKenichi Moriyama
posted2019/02/24 11:00
昨年のワールドカップ年間ランキングで2位に入った楢﨑智亜。22歳のエースは東京五輪でも活躍が期待される。
女子はガンブレットは現状ダントツ。
まずは女子から。
こちらは残念ながら、現状では金メダルは厳しいといわざるを得ない。ワールドカップ年間王者であり、世界選手権も制したガンブレットが強すぎるのだ。実力的に頭ひとつ抜けており、大きな失敗でもしないかぎり優勝は間違いないだろう。ガンブレットはミスが少なく成績が非常に安定しているところも特徴的な選手で、その大きな失敗もあまり期待はできない。
しかも彼女はまだ19歳。伸び盛りの年頃で、東京オリンピックまでにさらに実力を伸ばしてくる可能性もある。
それに続く実力をもっているのが野口、野中、ピルツの3人。それでも現時点ではガンブレットとの差は明らかにあり、日本勢に大きな飛躍がない限り、銀や銅メダル争いというのが現実的な見方だろう。
年齢的にも楢崎の成長度は高い。
対して、男子はどうか。
上記の成績だけを見れば状況は女子と変わらなく思えるが、こちらは事情が異なる。ワールドカップと世界選手権の2冠を達成したシューベルトは、女子のガンブレットほど突出した存在ではないからだ。
ワールドカップポイントでいえば、シューベルトが48ポイントに対して、2位の楢崎は54ポイント。これは年間の総合としては本当にわずかな差でしかない(スポーツクライミングはポイントが少ないほうが上位となる)。ちなみに女子のガンブレットが36ポイントであるのに対して、2位の野口は360ポイントだ。
さらにいえば、女子のガンブレットがワールドカップを3年連続で制しているのに対して、男子はシューベルトが勝ったのは2018年のみ。2017年は楢崎が勝ち、2016年マッコール、2015年オンドラと群雄割拠状態が続いている。
もうひとつ、ガンブレットとシューベルトの違いは年齢だ。シューベルトは現在28歳。低年齢化が進むスポーツクライミング界ではもはやベテランといってよく、ここから急激に実力が成長することは考えにくい。
それに対して、日本のエース・楢崎智亜はまだ22歳。東京オリンピックの時点でも24歳で、もっとも脂ののった年齢でオリンピックを迎えることになる。現在のトップ層のなかでは、もっとも金メダルの可能性が高い選手といっていい。