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東京五輪クライミングを本気で予想。
男子は金メダル本命、女子は対抗か。
posted2019/02/24 11:00
text by
森山憲一Kenichi Moriyama
photograph by
Kenichi Moriyama
去る1月26日・27日にボルダリング・ジャパンカップ、2月10日にはスピード・ジャパンカップが開かれ、国内スポーツクライミングの2019シーズンが本格的に始まった。3月2日・3日にはリード・ジャパンカップも開催予定で、スポーツクライミング3種目の国内王者が早くも出そろうことになる。
来年に東京オリンピックを控えた今シーズンは、クライミング界にとってはこれまでになく重要な1年となる。
通常、オリンピックで日本人の金メダルが期待できる競技として思い浮かぶのは、体操、柔道、レスリング、競泳などだろうか。それらに比べるとまだあまり知られてはいないが、スポーツクライミングも金メダル有望な競技なのである。
とはいうものの、メディアがいう「オリンピック金メダル候補」というのは一般に煽りすぎの傾向があり、いざ蓋を開けてみたら実力順当に5位、6位で終わるというケースが少なくない。私自身、詳しくない競技については何度も煽りにだまされてきた経験があるので、「そう簡単に信じるわけにはいかないぞ」という読者の気持ちもよくわかる。
そこで本稿では、専門ライターとしてのひいき目や余計な期待は一切抜き。つとめてフラットに、日本のスポーツクライミングがいかに強く、そしてオリンピック金メダルというのがどれくらい現実的な見込みであるのかを説明していこうと思う。
世界上位に日本人がずらり。
まずはデータを見てほしい。
以下は、昨年2018年のワールドカップランキング上位5人である。
男子
1.ヤコブ・シューベルト(オーストリア)
2.楢崎智亜(日本)
3.藤井快(日本)
4.緒方良行(日本)
5.ショーン・マッコール(カナダ)
女子
1.ヤーニャ・ガンブレット(スロベニア)
2.野口啓代(日本)
3.野中生萌(日本)
4.ジェシカ・ピルツ(オーストリア)
5.スターシャ・ゲヨ(セルビア)
ワールドカップというのは、例年4月から10月ごろにかけて行なわれるシリーズ戦。世界を転戦しながら7~8戦行なわれるもので、上記はその年間総合順位である。これが各クライマーの実力をもっとも正確に測る指標といっていい。