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異例の日中合同合宿で見せた、
男子体操の“本気の呉越同舟”。
 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2019/02/19 17:30

異例の日中合同合宿で見せた、男子体操の“本気の呉越同舟”。<Number Web> photograph by AFLO

ナショナルトレーニングセンターで行われた合宿で、鄒敬園のあん馬の演技を真剣に見つめる白井健三。

中国にとってもメリットは大きかった。

 中国の選手にとっては'20年東京五輪会場の外観を下見するなどのメリットもあるが、時代の変化を感じさせる画期的な取り組みであるのは間違いない。

 合宿が報道陣に公開された2月13日、取材に応じた肖はこのように語った。

「五輪が行われる東京で試合会場を視察できたことや、日本選手の練習を見ることができて良かった。日本は、とても真剣に練習をしているところが印象に残った。込み入った話をしたわけではないけれど、顔見知りなので『元気だった?』など簡単な会話をした」

 特に注目したのは数多い日本選手が得意としているゆかの練習だ。

「日本の選手はゆかのレベルが高い。技術的な部分で、今回見たことを自分の練習に取り入れたい」と話した。

内村「中国の選手は人生をかけている」

 鄒も日本が得意としている鉄棒やゆかに注目したという。中でも内村の姿から感じるところは大きかったそうで、「年齢を重ねながらも体操界を引っ張る技術レベルを保っているところに学ぶことができる」と語った。

 また、白井の練習光景も目を引いた様子だ。「目的意識をしっかり持っていて、何をやったら良いかをハッキリ分かった中で練習していると感じた」と感想を語り、「オリンピック本番では、今回日本に来た、この経験が役に立つと思う」と収穫も挙げた。

 刺激を受けているのは日本選手も同じだ。内村はこのように言う。

「向こう(北京)に行ったときも感じたが、中国の選手たちは人生をかけて体操をしている選手たちなのだとあらためて感じた。試合をやっているんじゃないかという目で練習している」

【次ページ】 互いのリスペクトが学びにつながる。

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