猛牛のささやきBACK NUMBER
「名前、なげー!」なオリックスの
山崎颯一郎が、3年計画を前倒し中。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2019/02/08 10:30
高卒3年目の山崎颯一郎、3年計画での育成を前倒して、一軍での活躍が今年見られるかもしれない。
キックボクシングから得た感覚。
その1つが、オフシーズンに取り入れたキックボクシングだ。
「自分、不器用なんで、頭で考えた動きを、なかなか体で表現できないんです。体をコントロールしきれていないというか、うまく力が伝わっていない。だから他のスポーツもやってみて、自分の思った動きを表現できるようにしていきたいなと思って」
キックボクシングを実際にやってみると、投球動作と共通する部分が多かったと言う。
「まずは体幹が重要だということですね。体幹を意識せずに蹴ると、力が入らないし、蹴ったあとふらついてしまう。それに、動きは違うんですけど、ジャブを打つ時に脇を締める感覚が、なんとなくピッチャーと一緒だなと感じました。
脇が空いて腕だけで殴りにいくと力が入らないけど、脇を締めていると、腰を回すだけで、ミットに当たった時にパチーン!といい音がして、『こんなにパワーが出るんだ』と感じました」
「颯の字が結構好きなんですよ」
体の使い方のヒントを得て、今後はストレートの威力を増すことと、フォークの習得をテーマに掲げる。
「U-23ワールドカップの韓国戦で投げた時に、相手がすごく粘ってきて、カーブもファールにされて……。そこで、決め球にできる落差の大きいフォークがほしいと思ったんです」
明確な課題を持って、キャンプは一軍でスタートした。
オリックスには“山崎”が3人いる。捕手の山崎勝己、左投手の山崎福也、そして山崎颯一郎。
「小学生の頃は、自分の名前があんまり好きじゃなかったんですよ。『名前、なげー!』と思って(苦笑)。でも今は嫌いじゃないです。“颯”の字が結構好きなんですよ」
今年は一軍の球場で、スコアボードに「山崎颯」の文字が見られるに違いない。