思いは「つねに、前向き」で。

　西コーチの言葉にうなずく瀬立さん。西コーチは普段から過剰に手を貸すことはないときっぱりと話す。瀬立さんも、頼みたいことがあれば遠慮なく自分から言葉にするという。真のバリアフリーとは、2人のような遠慮のない関係性を指すのかもしれない。ふとそう思った。

西「基本、できることは本人がやり、できないことは全力でサポートする。そうやってお互いの足りないものを補い合っているのが、今の私たちです」

松岡「まさに一緒になって夢を追っている。一緒に戦っているんですね」

西「だから時間が濃いなあ、と思います。やることが一杯あって、つねに時間が足りない。あれもやんなきゃ、これもやんなきゃって、そんなことを話していると、東京から石川までの6時間のドライブがあっという間。ノンストップで行くこともあるんですよ（笑）」

松岡「2020年東京まではあと1年半。どんな自分で勝負の瞬間を迎えたいですか」

瀬立「それまでに不安要素を全部つぶしていって、最強の自分で臨みたいです」

松岡「出ました、最強！その逞しい腕を見たら、強いのはよくわかります。

　最後にもう1つ、聞かせて下さい。これまでモニカさんが一番大事にしてきたもの、これからも大事にしていきたいものは何ですか」

瀬立「つねに、前向き」

松岡「即答だね」

瀬立「物事って捉え方次第じゃないですか。車椅子になったのも、後ろ向きに考えれば“なっちゃった”だけど、前向きに考えればそのおかげでパラリンピックにも出られたという見方もできる。世界は捉え方次第で変わると思うので、私はつねに前向きでありたい。障害も1つの個性として受け止めていきたいです」

松岡「つねに前向きモニカ。だからチャンスもやってくる。あとはそれを掴むだけ。全力で応援しています！」

（構成：小堀隆司）