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鷹の守護神・森唯斗の球筋は必見。
1球ごとに「性格」がある魔球とは。
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKyodo News
posted2019/02/03 08:00
森は2018年、リーグ最多37セーブを挙げた。自主トレには2年目の椎野新を帯同するなど刺激を求めている。
数ミリ、数センチの変化が3通り。
森がカットボール気味にスライドしてくるボールを投げることは、カープも認識していました。森はこれまで、外角を狙ってボールを半個、または1個分、外側へズラし、芯を外してきたからです。
ただ、去年は右打者に対して、勝負どころでインコースをしつこいほど使いました。右打者はインコースからのカット気味のボールを予想し、振りに行きますが、当たらない。むしろ空振りする、または見逃し三振を喫するシーンが何度も見られました。
そのとき森はインコースに、実はカットボールとは逆の動きをするシュート系の球を使っていたのです。さらに、少し浮き上がるような球種も使っていました。
これにより打者はインコースからベース盤の中に入ってくるボールと、自分の身体側に食い込んでくるボールと、そして浮かび上がってくるボールの3つを予想しなければいけなくなりました。打者の心理に与える、この迷いがバットを出せなくさせていました。
同じコースからの数ミリ、数センチの3通りの変化。そして、豪快なフォームでありながら繊細なコントロール。それこそ森が、常勝ソフトバンクで存在感を発揮できるゆえんであると確信しました。
ついに始まった2019年の春季キャンプ。森唯斗がブルペンに入る時、1球1球に性格がある彼の投球練習に是非、注目してほしいと思います。