スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
FA契約といぶし銀二塁手の苦境。
大型契約の陰で起こっていること。
posted2019/02/02 11:00
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
AFLO
実績を重ねた選手がフリーエージェント(FA)の資格を得れば、それまでとは桁ちがいの年俸を(しかも長期契約で)手にすることができる。――つい最近まで、大リーグの世界ではこれがきわめて現実的に語られていた。
2001年、FA資格を得たアレックス・ロドリゲスは、レンジャーズと10年総額2億5200万ドルの契約を結んだ。
2011年、アルバート・プーホルズは、エンジェルスと10年総額2億4000万ドルの契約を結んだ。
2013年、ロビンソン・カノーは、マリナーズと10年総額2億4000万ドルの契約を結んだ。
近年の日本人選手でいうと、2018年にダルビッシュ有が、カブスと6年総額1億2600万ドルの契約を結んでいる。
そして今年は、マニー・マチャドやブライス・ハーパーが、総額4億ドルを超える大型契約に漕ぎ着けるのではないかという臆測が、まことしやかにささやかれている。
もちろん、それはありうる話だ。だが、そんな数字に眼をくらまされていると、底のほうでひそかに変化している潮流を見逃すことになる。
30歳以上の二塁手が契約で苦戦?
いま名前を挙げた選手は、それぞれ時代の花形ばかりだ。しかし、オールスターに出場したり、ゴールドグラヴに輝いたりしている一流選手でも、近ごろは窮屈な契約を余儀なくされるケースが少なくない。
たとえば、D.J.レメイヒュー(FAでヤンキースと契約)、ブライアン・ドジャー(FAでナショナルズと契約)、ジェド・ラウリー(FAでメッツと契約)、ダニエル・マーフィ(FAでロッキーズと契約)といった選手たちのケースを検証してみよう。
彼らの共通点は、二塁手であることだ。年齢は、全員が30歳以上。新たな契約期間が比較的短く、契約金がかなり抑えられていることにも注目したい。
最も恵まれているのは、マーフィの3年総額3000万ドルだろう。あとは、レメイヒューが2年総額2400万ドル、ラウリーが2年総額2000万ドル、ドジャーが1年900万ドル。