球体とリズムBACK NUMBER
カタール優勝で地殻変動のアジア。
潤沢な資本を賢く使う国家の脅威。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/02/05 10:30
アルモエズ・アリらのスーパーゴールが強烈な印象を残す一方で、カタール代表は組織の熟成度も高かった。
中国、ベトナム、UAEなども。
2022年のW杯を開催するカタールはこのタイトルにより、最低限の目標を成し遂げた。実力が伴っていないのにW杯に出場できると揶揄されることは、もうなくなるだろう。
アジア全体のレベルが底上げされていることは、以前から分かっていた。ただし、ロシアW杯に出場した5カ国が4強にふたつしか残れず、新興国にタイトルまでさらわれてしまうことを予想できた人は、多くなかったはずだ。
シャビなど、カタールに住む人たちを除いて。
他国に目を向ければ、中国にもアスパイヤ・アカデミーに匹敵するほどの育成組織があり、ベトナムやタイ、UAEも目覚ましい進歩を遂げている。もはや、日本や韓国、オーストラリア、イランといったこれまでの有力国は、エリート意識を捨てるべきだろう。
アジアの勢力図は塗り替えられた。我が国も、あらためて襟を正して物事に取り組まなければ、このうねりに飲み込まれてしまうかもしれない。