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バルサからカンテラ育ちが消える?
“聖域”の中盤は今や移籍組が占拠。
text by
吉田治良Jiro Yoshida
photograph byGetty Images
posted2019/01/30 08:00
シャビ、イニエスタが去り、今度はブスケッツの後釜……。メッシが健在のバルサだが、有望な生え抜きの不在は懸念である。
ラ・マシアの意義はあるか?
アヤックスではときにリベロとしてもプレーするが、現在のバルサに当てはめれば、セルヒオ・ブスケッツのメディオセントロ(アンカー)か、イバン・ラキティッチのインテリオール(インサイドハーフ)が、デヨングに与えられるポジションになるはずだ。
そのブスケッツとラキティッチがいずれも30歳を過ぎ、彼らの後継者探しが急務と言われていただけに、さらにはそのトライがここまで失敗続きだっただけに、バルセロニスタの多くが、「これで向こう10年、バルサの中盤は安泰だ」と胸を撫で下ろしたのもわからなくはない。
けれど──。
「ボールプレーを大切にする」というバルサの哲学の発信源とも言うべきポジションの選手を自前で育てられず、7500万ユーロ(約98億円)もの移籍金を積み上げて他所から引き抜くやり方を目の当たりにしては、もはやラ・マシアの存在意義がどこにあるのかさえわからなくなる。
今夏に3100万ユーロ(約40億円)を投じてグレミオから獲得したブラジル代表のアルトゥールは、予想以上のスピードでバルサスタイルにフィットし、すでに「新しいシャビ」との評価を得ている。
イニエスタらの系譜が……。
そう遠くない将来、バルサの中盤はアルトゥールとデヨングを中心に構成されているかもしれない。ラ・マシア組ではカルレス・アレニャ(21歳)、リキ・プッチ(19歳)らがここに食い込めるかだが、ようやくターンオーバー要員として認知されたアレニャはともかく、招集メンバーに名前を連ねるのが精一杯のプッチは、まだ越えなくてはならないハードルがいくつもありそうだ。
ジョゼップ・グアルディオラ、シャビ、アンドレス・イニエスタ、そしてブスケッツと、これまでは「メイド・イン・カタルーニャ」の車を乗り継いで、バルサイズムを継承してきたが、今後は外国産の車ばかりがカンプノウのガレージに並ぶことになるのかもしれない。
ここに、噂に上るアドリアン・ラビオ(パリSG/23歳)まで加わるようなことがあれば、もはやラ・マシア組に出番はないか。