プレミアリーグの時間BACK NUMBER
愛弟子イグアインに賭けたサッリ。
チェルシーの緊急補強は吉か凶か。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2019/01/26 10:00
ミラン在籍は半年間にも満たなかったイグアインだが、決定力は今もなおワールドクラス。恩師のもとで逆襲なるか。
週給はなんと3800万円台。
チェルシーは、30代選手との新契約は1年が基本となって久しい。基本給も低く設定されていて、出来高の割合が高い体系になっている。'18年冬には、やはり31歳だったジルーがアーセナルから移籍金1800万ポンド(約26億円)で加わったが、給与は、週12万ポンド(1700万円強)。
一方でイグアインはユベントスとの契約で約束されている年俸が維持される形となり、週換算で27万ポンド(約3800万円)台とも言われ、プレミア全体で見ても高給取りだ。
オプションと噂される1560万ポンド(約22.3億円)でのレンタル期間の1年延長や、3130万ポンド(約45億円)での完全移籍の可能性もあるが、イグアインが期待外れに終わり、結果としてCL復帰にも失敗すれば、サッリ体制そのものが1年で終わっても不思議ではない。
本格的な準備期間は1週間。
契約締結が期限に間に合わず、第2レグでの新CFデビューが叶わなかったトッテナムとのリーグカップ準決勝では、PK戦の末にチェルシーが決勝進出を決めた。
両レグ合計スコアを2-2としたチェルシーの得点は、いずれも1月24日の第2レグ(2-1)でアザールが絡んだもの。とはいえ、サッリのチーム批判がプラスに働いたとは断言できない。
勝因を挙げれば、トッテナムがハリー・ケインとデル・アリの負傷に加え、ソン・フンミンのアジアカップ出場による欠場で攻撃力が低下していたこと。そして、ジルーが先発したチェルシーの前線で、アザールが本来の持ち場に戻っていたことになる。
エンゴロ・カンテのミドルによる先制点は、アザールのドリブルから得たCKの流れから生まれた。アザールによる追加点は、ジルーが献身的なダイアゴナルランで相手DFの注意を引いたことで、ボックス内中央でクロスに合わせられた。
第2レグではホームの観衆への顔見せだけに終わったイグアインは、シェフィールド・ウェンズデー(2部)と対戦するFAカップ4回戦での肩慣らしを経て、1月30日の第24節ボーンマス戦でのプレミア・デビューが濃厚だ。
チェルシーでの練習開始から1週間での本格的な戦闘開始。旧知の新CFと「心中」する覚悟でチームパフォーマンスの改善に取り組むサッリにとっての準備期間も、1週間しかない。
監督に与えられる時間的猶予の短さも、選手の発言力の強さと同様、チェルシー指揮官が避けられないリスクなのだ。