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新キャプテン・吉田麻也の存在感。
「僕は長谷部誠にはなれない」
posted2019/01/21 11:20
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
AFLO
1月のUAEの気候は日本の初夏に近い。昼間の日差しは結構きつく、湿度はほどほどで、朝晩は涼しい。もちろん、真冬の日本やそれ以上に寒い欧州から来ている選手にとっては暑いと感じる気象条件だったが、滞在して2週間余りが過ぎている。
「試合を重ねて、ここの気候にも慣れてきました」
吉田麻也は安堵感を交えながらそう話していた。自身にとって3度目のアジア杯で、彼は左腕にキャプテンマークを巻いてプレーしている。その振る舞いには、宮本恒靖や長谷部誠といったW杯でキャプテンマークをつけてプレーしてきた歴代の日本代表主将に通じる、堂々たる風格がすでに宿っている。
吉田が、キャプテンとして見られていることにきっちりと正対していることを示したのは、グループリーグ第1戦のトルクメニスタン戦を翌日に控えた1月8日の公式会見だった。森保一監督とともに出席した吉田は、冒頭のコメントを英語で発信した。
「4年前は(準々決勝で)UAEに負けて大きな失望を味わった。今回は新しい監督、新しいチーム、新しいメンバーになっている。この大会を楽しみ、トーナメントを通じて自分たちを改善していき、最終的にはタイトルを取りたい」
チーム内の若手に向けたような言葉。
会見では総論的な言葉だけではなく、あえてチーム内の若手に届くことを意識したような、覚悟を喚起させるコメントもあった。
「W杯と違って、アジアの中では勝たなければいけない状況、期待があり、それはプレッシャーになる。その中で優勝できるかがポイントの1つ。そして、もう一度W杯に出て結果を残すためのベースをつくり上げることが1つ。今までの日本代表がつくり上げてきた誇りと責任を、新しく若い日本代表が背負って戦う場だと思う」
こうして始まったUAEでのアジア杯。日本は初戦のトルクメニスタン戦で前半に先制点を奪われるまさかのスタートとなったが、後半に地力を発揮して逆転に成功した。3-1となってから1点を失う未熟さを見せたのは反省材料だが、まずは3-2の勝利で勝ち点3を手にした。
続くオマーンとの第2戦では、序盤から圧倒しながらゴールが決まらないという、焦りを誘発しかねない展開でありながら、原口元気のPKで1-0の勝利。2試合で勝ち点6を手にして、決勝トーナメント進出を決めた。
そして、第3戦のウズベキスタン戦は吉田はベンチ。ターンオーバーでこの試合に臨んだ日本は2-1の逆転勝利を収めて3戦全勝とし、グループ1位での決勝トーナメント進出を決めた。3試合でフィールドプレーヤー全員が使われての勝ち点9は、決勝までいけば7試合となる長丁場を闘い抜くうえでプラスになるマネジメントだ。吉田はしっかりと身体を休めて、ラウンド16のサウジアラビア戦に向かうことになった。