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千葉ジェッツ、バスケ天皇杯3連覇。
悲願の2冠へ必要なのは挑戦者の心。
posted2019/01/22 07:00
text by
吉川哲彦Akihiko Yoshikawa
photograph by
Kiichi Matsumoto
難産の末にたどり着いた3連覇だった。
第94回天皇杯・全日本バスケットボール選手権大会で優勝を果たした千葉ジェッツ。前々回・前回と連覇を果たしているだけに、大会前から「3連覇なるか」という点に注目が集まっていたのは必然であり、今大会全体の最大の焦点だったと言ってもいいだろう。
すでにレギュラーシーズンの半分以上を消化したBリーグでも全体の首位を走っている分、3連覇の可能性大という呼び声はことさら高かった。
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しかしながらその戦いぶりを振り返ると、Bリーグ首位やディフェンディングチャンピオンといった肩書を匂わせる要素は薄い。
ファイナルラウンドの初戦となる準々決勝は第4クォーター終盤に川崎ブレイブサンダースの猛反撃を受け、残り1分を切って10点あった点差はみるみる縮まり、終わってみれば3点差という薄氷の勝利。
続く準決勝ではアルバルク東京とクロスゲームを演じ、1点ビハインドの残り0.5秒で逆転するという苦しい試合だった。
そして、決勝は栃木ブレックスにリードを許しながらも追いつき、延長にもつれ込む大熱戦を展開。1点ビハインドを背負った残り16.1秒からのオフェンスで富樫勇樹が値千金の3ポイントを炸裂させ、劇的な幕引きでの優勝となった。
紙一重の激戦をことごとく勝利。
ファイナルラウンドの3試合は順に3点差、1点差、2点差とすべて1ポゼッションで勝敗が入れ替わる可能性のある点差だった。どこかで1つ間違えればその瞬間に3連覇の夢が潰えてしまうという、トーナメント方式の天皇杯が持つ“一発勝負の怖さ”を感じずにはいられない結果だ。
同時に行われた第85回皇后杯では、JX-ENEOSサンフラワーズがファイナルラウンドの3試合すべて14点以上の差をつける貫禄の6連覇。Wリーグ10連覇中というリーグの中でも頭1つ抜けた存在である“絶対女王”と千葉を単純には比較できないとはいえ、連覇がかかった立場である点は同じ。
実に対照的な過程を経た結末だったが、それと同時に、紙一重の激戦をことごとくものにした千葉の底力を証明する戦いぶりでもあった。勝負のかかった重要な場面で持てる力を発揮できることは、千葉の一発勝負での強さに他ならない。