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イチローに魅入った菊池雄星少年。
「雲の上の存在」がチームメイト。
posted2019/01/19 17:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
AFLO
マリナーズ入りが決まった菊池雄星が1月3日(日本時間4日)、本拠地シアトルで入団会見を行った。地元・米国人記者に対し、流暢な英語で応答したことが話題を集めた一方で、同僚となるイチローへの憧れ、思いの強さも印象的だった。
1991年6月17日。菊池は岩手県・盛岡市で産声を上げた。一方のイチローは、同年ドラフトでオリックスから指名を受けて入団。菊池が物心がついた当時、イチローはすでにプロ野球選手としてプレーしていた。
菊池にとってのイチローは、他の少年たちの誰もが憧れる、テレビの中にいるスーパースターだった。
東北の田園でノビノビと成長した菊池に、1度だけ、イチローを直接見られる機会が訪れた。
2000年6月6日。実家からほど近い岩手県営野球場で「オリックスvs.ダイエー(現ソフトバンク)」が行われた。当時8歳で野球を始めたばかりの雄星少年は、心躍らせながら球場へ向かった。父・雄治さんの回想によると、「行ってきます、と言って、ひとりで出かけて行った」という。言うまでもなく、お目当てはイチローだった。
イチローに魅了された雄星少年。
この試合に「4番右翼」でスタメン出場したイチローは、第1打席で敬遠されながらも、4打数2安打2打点。打率を3割9分1厘まで引き上げた。シーズン途中とはいえ、夢の「4割到達」が、当時のメディアを沸かせていた。
試合後、イチローは地方のファンを意識したコメントを残している。
「めったに来られないところで喜んでもらえれば……」
イチローの願い通り、雄星少年はイチローの姿に魅了された。強く、しなやかにダイヤモンドを駆け巡るイチローの姿、その光景は、今でも脳裏に刻み込まれている。
「簡単には説明できないというか、特別な思いはあります。イチローさんが最後に日本でプレーした年で、鮮明に覚えています。僕は野球を始めたばかりだったので、イチローさんのことしか知らないような状態で球場に行ったんですけど、そのときのオーラというか雰囲気というのは、ずっと記憶に残っています」