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川口能活×楢崎正剛「未来のGKへ」
レジェンド守護神対談完全版・後編
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2019/01/06 11:30
終始和やかなムードだった川口能活と楢崎正剛の対談。彼らの思いはこれからの守護神へと受け継がれる。
ヨッちゃんは最先端だった。
――日本代表のゴールマウスを背負えるGKになるためには、どんな資質が必要だと思いますか。
川口 難しい質問ですね。
楢崎 これは難しい(苦笑)。
川口 まずGKを志す子どもたちには、自分が好きなGKを見つけて、そのGKのプレーを真似してほしいなって思うんです。人それぞれ意見はあるでしょうけど、僕自身は、そうしてきたので。
国内・海外を問わず、1人じゃなくてもいい。僕はいろんなGKが好きだったし、シューマッハーもシルトンもそう。高校サッカーにも好きなGKがいました。いろんなGKを見て、自分がいいなと思ったプレーを頭に焼き付けて、その真似をする。真似をすることで、自分でもできるようになって、そのプレーで観ている人たちが感動したり、心打たれたり、印象に残ることにつながっていく。
楢崎 その意味では、僕はシュマイケルが好きだった。子どもの頃というか、プロになってからもそうでしたけど。ああいう人が出てきてほしいな。
川口 シュマイケルはすごいよね。1対1も強いし、体も強い。ああいうGKが出てきたら最強だよね(笑)。
楢崎 「GKによって、チームが勝てる」っていう選手。
川口 存在感を越えた威圧感。相手からしたら、すごく怖い。
楢崎 シュマイケルのような存在が現れれば、誰もが「日本のGKが変わった」と感じるはず。もちろん技術もメンタルも必要ですし、それが難しいことは十分にわかっているけど、自分自身がシュマイケルをよく見ていて、好きだったから。
――もし、お互いがいなかったら、自分のサッカー人生は変わっていたと思いますか。
楢崎 変わってるでしょうね。
川口 間違いないだろうね。
楢崎 根本から違っていたと思う。僕の中でヨッちゃんは、GKの最先端を行っていたイメージなんです。プロになった当時は、まだJリーグも始まったばかりだったから、いいモデルだったし、「勉強しよう」という目で見ていた。だから、ヨッちゃんがいなかったら「GKって、どうしたらいいんやろう」と思っていたかもしれない。そう考えると、いなかったら怖いですよ。僕はラッキーだったと思うんです。