演技構成点で全項目9点台の宮原。

「時間を巻き戻したいです」

　宮原はフリーを振り返る中で、口にした。

　後半のトリプルフリップ－ダブルトウループ－ダブルループが、ダブルフリップになった場面だ。きちんと成功させていれば、十分、優勝はあった。

「（勝ちたい気持ちは）もしかしたら、どこかであったのかもしれないので、最後は力が入っちゃったのかな、と」

　それでも演技構成点では唯一、9点台を全項目で並べた。実力者たる姿を示した。

　今シーズンはジャンプの跳び方を変え、トレーニング面でも新たな試みをしている。まだその過程にある。ベストの演技ではなかった。でも、ほんの少し、のところだ。

三原が笑顔を見せた理由。

　三原は、フリーの演技が終わると、何度もガッツポーズを繰り返した。

「ショートもフリーも、2018年の中でいちばんいい演技ができたと思います」

　2つの演技は、その言葉のとおりだった。

　表彰台には立てなかったが、笑顔は消えない。いつも、自分の演技を、少しでも向上を、と語る。やるべきことをやりきれた納得が、そこにあった。

　大会そのものをより高みへと引き上げた選手たち以外にも、印象に残る選手たちがいた。その1人に細田采花がいる。

　ショートでトリプルアクセルを成功、フリーでもトリプルアクセルを2つ成功させて8位。自己最高の結果を残した細田を拍手が包んだ。

　現在23歳の細田は、大学4年生だった2シーズン前に一度は引退を決めていた。ところが練習中に跳んでいたとき、トリプルアクセルに成功する。

「全日本選手権で跳びたい」

　現役続行を決意した。

　昨年の全日本選手権は、ショートで26位にとどまり、フリーに進めなかった。ショートではトリプルアクセルを組み入れていなかったため、挑戦はかなわなかった。そして今大会で、夢をかなえたのだ。

「この日のためにやってきました。ほんとうにうれしい、のひとことです」

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