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来季F1で跳ね馬を駆る逸材、
C・ルクレールの「スーパー」な才能。 

text by

今宮雅子

今宮雅子Masako Imamiya

PROFILE

photograph byNoriaki Mitsuhashi

posted2018/12/28 17:00

来季F1で跳ね馬を駆る逸材、C・ルクレールの「スーパー」な才能。<Number Web> photograph by Noriaki Mitsuhashi

モナコ出身、貴公子然としたルックスの内面には、成熟した自信と謙虚さが秘められている。

アロンソが「スーパーな才能」と賞賛。

 まだ21歳。ルクレールの4輪レースのキャリアは今年で5年目と短い。F1に至るカテゴリーを、すべて1年で済ませているからだ。'16年のGP3も'17年のF2も、1年目にタイトルを獲得した。

 初めてのコースでも、即座に把握するスキルがとてつもなく高い。マシンの動きが乱れた際に修正して"取り戻す"才能によって、予選ではミスを恐れない挑戦が可能になる。そしてレースでは、ベテランドライバーのように305kmを俯瞰して管理する能力を備えている。フェルナンド・アロンソとの接近戦は、今シーズン何度もファンの目を釘付けにした。アロンソはルクレールを「スーパーな才能」と賞賛し、ルクレールは「フェルナンドのように手強い相手と戦うのは、最高の経験だ」と言う。

「接触事故という意味でのリスクは低くても、彼はどうやって自分のポジションを守るべきか熟知しているから、すごく厳しい。それに"フェルナンド・アロンソ"という人間を抜くなんて……簡単じゃないよ!」

 ベッテルともとてもいい関係。フェラーリのシミュレーターを担当すると必ずお礼を言ってくれる先輩の優しさが嬉しかった。

「フェラーリに行っても、大切なことは変わらない。自分の仕事に集中して最大限の力を注ぐだけだ。目標はもちろん勝利だけど……それは来年、わかることだよ」

 でも"いくつかの成功"を期待しているとつけ加えた。私たちはきっと、F1の新たな歴史の目撃者になる――今年の彼のレースが、すでに宝石のような記憶だ。

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