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イチロー、マリナーズ本拠地への愛。
「当たり前にあることが本当に最高」 

text by

笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2018/12/25 08:00

イチロー、マリナーズ本拠地への愛。「当たり前にあることが本当に最高」<Number Web> photograph by Getty Images

2018年、トレーニングを続けてきたイチロー。45歳で迎える2019年開幕戦で再び勇姿が見られるか。

「エリア51」となった我が家。

 本拠地球場とはプレーヤーにとって、まさに『ホーム、我が家』である。どの選手にも思い入れは多い。「セーフコ・フィールド」でその思いがとりわけ深いのがイチローであろう。

 '01年から'12年途中までに加え'18年シーズンもこの球場をホームとした。トータル12年半で放った安打数は1244本。メジャー通算3089安打の4割にも及ぶ。「エリア51」の名がついた右翼の守備位置、数々の金字塔を打ち立てながら味わって来た苦楽。真摯に向き合った結果が野球殿堂入り間違いなしの実績を築き上げた。

イチローが見たライトからの景色。

 昨季開幕前、6年ぶりにその『我が家』へと帰還することを許されたイチローは再びプレー出来る喜びをしみじみと口にした。

「セーフコ・フィールドに立つというのが目標でしたから。今日この球場に来る、自宅から車に乗ってここまでくる間も最高でしたね、景色も。自分の家から通うっていうのはこんなに気持ちいいことなんだって。心から安らぐって難しいじゃないですか。当たり前にあることは本当に最高っす」

 イチローは常々「これほど美しい球場はない」とセーフコ・フィールドを称する。昨季は左翼を守ることが多かったが、4月22日に右翼でスタメン出場した際には「ライトからの景色はやっぱりいいね」と、特別感も示した。そして、開幕2戦目にキャップ・アンソンの安打記録を上回ったことを地元記者に聞かれると、強い口調で答えた。

「そういうこと、今の僕にとって、どうでもいいことなんで。毎日こうやって、セーフコに来てプレーできることがもう、そのことが嬉しくって、そんなこと、どうでもいい」

 イチローにとって『我が街』がシアトルであれば『我が家』はセーフコ・フィールドだ。開幕戦で開場以来、史上最多の47149人のファンから誰よりも大きい歓迎の拍手を送られた際には「この先はシアトルを離れたくない」と、感傷的にもなった。

【次ページ】 2019年の新しいチャレンジ。

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