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原辰徳監督の背番号シャッフルは、
実は大きな「勝負手」だった!?
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2018/12/21 12:30
12月19日、笑顔の巨人入団会見で原監督とグータッチを決める岩隈(右)。新背番号は、吉川がつけていた21に。
接戦の弱さを解消することが重要。
'18年の巨人はチーム防御率3.79がリーグ1位、575失点もリーグ最少と決して悪い投手陣ではなかった。その土台を支えたのはエース菅野を中心とした先発陣で、チーム完投21は2位の中日の9を大きく引き離してダントツの数字を誇っている。
ただ、その一方で今季36試合あった1点差試合の勝率は、3割3分3厘(12勝24敗)という低さだ。
この接戦の弱さをどれだけ解消して、逆にいくつ勝ち越しに変換できるか――実はそれが、5年ぶりの覇権奪回を目指す、'19年の巨人が抱える最大のテーマでもある。
そのテーマをクリアするためには、前回のこのコラムでも触れたように、84ホールドポイント、73ホールドといずれも両リーグ最下位の中継ぎの強化、勝利の方程式の確立が大きな課題となる。
大型補強でいくら得点力をアップしても、そのリードを守りきれないのでは意味がない。接戦の中盤を支えるリリーバーの育成と、同点や僅差で勝っている試合の7回以降を任せられる方程式の確立。
リリーフ投手陣がこの2つのテーマをきっちりとこなせるようになれば、このオフに行った打線の大幅なテコ入れがより効果を発揮することになる。
だからどうしても原監督には、第2次政権時代の山口が必要であり、その第1の候補として吉川を指名した。
吉川の背番号「47」には、それぐらいの重たい意味があるのである。
「信頼を勝ち取れるようになりたい」
吉川は日本ハム時代の'12年には先発として14勝5敗の防御率1.71でパ・リーグMVPに輝いた実績がある。
'16年オフに大田泰示らとの交換トレードで巨人に移籍。巨人での2年間は主に先発で7勝10敗という成績で、'18年シーズンの中盤からはリリーフでの登板が主体となっていた。
「葛藤はなかった」
すでに'19年シーズンはリリーフ専従となることを原監督から伝えられた左腕はこう語る。
「救援として50試合投げることが一番。信頼を勝ち取れるようになりたい」