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磐田・大南拓磨がJ1残留で得た、
CBに不可欠なミスとの向き合い方。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/12/12 17:30
ジュビロのJ1残留に貢献した大南拓磨。東京五輪世代の最終ラインを束ねる有力候補だ。
名波監督からも指摘された。
「今シーズンが始まる当初は、本当に浮き沈みが激しかった。名波(浩)さんからも、鈴木秀人コーチからも指摘されていました。CBは浮き沈みがあっては絶対にいけない。
ミスなど悪いことがあったとしても、どうやってすぐ気持ちを切り替えるか。そのためには『どんなこともポジティブに捉えよう』と考えることにしました。そこから徐々にプレーがうまくいくようになりました」
変化のきっかけはU-21日本代表の一員として参加したアジア大会だったという。
大南はグループリーグ第2戦のパキスタン戦、準々決勝のサウジアラビア戦でフル出場した。
「大会前まで(磐田で)ベンチに入っても試合に出られず、少し悩んでいました。練習試合に出ても自分の中で『浮き沈みが激しいな』と感じていましたから。だから同年代とプレーするアジア大会で『この大会はいろいろ割り切ってやってみよう』と考えました。出番こそ多くはありませんでしたが、変に考え込まずに自信を持ってプレーできたのは大きかったです」
東京五輪のメンバー入りへ。
ミスを経験値に変えるとともに、必要以上に考え込まない。この姿勢が磐田に戻ってからも出始め、波が少なくなった。だからこそ、終盤のレギュラー獲得に繋がった。名波監督が東京V戦のスタメンに彼の名を残したことが、その証拠だと言えるだろう。
「(川崎戦のミスの)切り替えはすぐにできませんでしたが、もう1試合あることをラッキーだと思って練習から取り組めた。だからこそ、この結果が出たと思います」
こう大南は胸を張るとともに。来季に向けての想いで溢れていた。
「CBというのは89分間よいプレーをしても、残りの1分、1つでも悪いプレーをしたら評価されないポジションです。90分間を集中し、冷静に相手と対峙して、無失点で抑えることが大事。その意味を本当に知れた1年だった。来年はシーズン序盤からスタメン定着することが重要ですし、そうしないと目標である東京オリンピックのメンバーに選ばれない。今年の経験を自信にして取り組んでいきたい」
これからもミスに臆することなく、自らの力に変えていく。大南拓磨は一流のCBになるために、茨の道を自らの意思で歩み始めている。