フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
GPファイナル2位だった宇野昌磨。
世界の頂点を狙う、次のステージへ。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2018/12/12 16:30
異常なプレッシャーの中でもきっちり優勝できる選手に……その覚悟を決めた宇野の横顔。
「自分を信じる難しさ」と宇野。
今シーズンはロンバルディア杯、スケートカナダ、そしてNHK杯と連勝してきたものの、昨シーズンから大舞台となると2位が続いてきた宇野。
才能も能力も、国際ジャッジのお墨付きで練習量も申し分ない。
その彼が表彰台をあと一段上に上がるために、必要なものは何なのだろうか。
フリーの翌日、宇野は日本から集まった報道陣の前でこう口にした。
「自分を信じる難しさ。こんなにも自分のことなのに難しいんだなというのを実感しています。
フリーの中盤は練習通りできた。練習をちゃんと信じることができたと思う。ショートプログラムの時は、公式練習から自分を見失ってしまった。
僕の中での3アクセルと4トウループというのはあまり失敗しないジャンプ。それが練習で立て続けに失敗したときに、自信を無くしてしまったのだと思います」
3月のミラノ世界選手権で惜しい結果に終わったことも、影響を与えているのかと聞かれると宇野はこう答えた。
「チャンスだったといったら、去年の試合でも何度も(優勝の)チャンスはあった。点数を見てもどの試合もチャンスはあったと思う。去年で一番悔しい、よくなかったのはGPファイナルだったと思います」
優勝を逃した名古屋GPファイナル。
確かに、昨年のGPファイナルは宇野が優勝する舞台設定は揃っていた。
彼の地元の名古屋開催で、長年宇野が背中を追ってきた羽生結弦は怪我で欠場。言ってみれば、宇野がタイトルを手にするために開催されたようなこの大会で、わずか0.5ポイント差でネイサン・チェンに敗れて2位に終わっていたのだ。