JリーグPRESSBACK NUMBER
レッズの栄光は「1-0」が似合う。
天皇杯制覇に凝縮された浦和イズム。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byGetty Images
posted2018/12/10 18:00
ルヴァン杯、ACL、天皇杯。3シーズン連続でタイトル獲得となった浦和から、勝負強さをひしひしと感じる。
平川が振り返った前回優勝。
ローマは一日にして成らず――。
12大会ぶり7度目(三菱重工時代を含む)となる優勝には、浦和の歴史が詰まっている。2005年度、2006年度の連覇も憎まれ口を叩かれるほどの堅守を誇った。
今季限りでスパイクを脱ぐ浦和一筋17年の平川忠亮は、経験者としてしみじみ振り返っていた('05年度の決勝はケガで欠場)。
「連覇したときのことをよく覚えている。('06年度決勝の)ガンバ戦は本当に苦しかった。シュート数で圧倒されて、ずっと攻められていた。それでも、最後に点を取って勝った。タイトルの懸かった試合は、どれだけ我慢できるかが大事。負けると何の意味もないので。内容ではなく、結果だけが求められる」
当時のスコアも1-0だった。
しぶとい浦和のスピリット。
その後、攻撃的なスタイルを模索し、成績が浮き沈みした時期もあったものの、しぶとく戦う浦和のスピリットは伝承されている。クラブの黄金時代を見て育ち、先輩の背中から学んできた育成組織育ちの宇賀神友弥、橋岡はひしひしと感じている。
「平川さんは、多くのものを残してくれた。僕らが受け継いでいかないといけない」
鹿島時代にタイトルを総なめにしてきた百戦錬磨の指揮官は、浦和に息づく魂を呼び覚まし、さらに隙のないチームに仕上げようとしている。天皇杯の決勝では、その片鱗が見えた。宇賀神は言う。
「オリヴェイラ監督は、細かいところまで勝負によりこだわる。セットプレーの練習ひとつ取ってもそう」