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千賀滉大が則本昂大に“白旗”も、
「僕は三振を獲れる投手でありたい」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byKotaro Tajiri
posted2018/12/07 10:30
オレンジリボンのピンバッジを付け、シーズン中とは違う笑顔をみせる千賀滉大。
千賀にとって奪三振とは?
現在2人の幼子の父親でもあるが、子どもを持つ前から児童虐待問題には関心を抱いていたという。
オレンジリボン運動へ成績連動型の寄付活動を行うことが球団からも発表された。1奪三振につき1万円を支援する。
千賀にとって奪三振とは何なのか。
じつは、'17年7月発行の「Number931号」の特集「奪三振主義」の中で、ちょうど彼のページの執筆を担当させてもらい、それについて質問をぶつけていた。
答えはこうだった。
「三振が一番いいアウトの取り方だと思ってます。だって、バットに当てられれば何が起こるか分からないでしょ。三振を狙いに行くのは球数が増えるから非効率だという人もいるけど、それならば3、4球で終わらせればいいだけのこと。難しいですけどね。だけど、僕にすれば1球で打たせてアウトにする方がよっぽど難しい」
ストレート勝負が本当の理想。
1年半が経ち改めて問うてみたが、その考えは変わらないという。
「三振をとれる配球は打者を抑えられる配球でもあると思っているし、僕はボールを動かしてゴロを打たせることは出来ないタイプ。三振をとれるからいい投手というわけではなくて目安の1つに過ぎないと思うけど、僕は三振を獲れるピッチャーでありたい」
また、昨年の取材の中では“お化けフォーク”の異名をとる至極の勝負球について「これ以上の進化は見込めない」と話しており、「本当の理想はストレート1本勝負。スピードもキレもコントロールも思いのままに操ること」と拘りを示していた。
それも同じだ。
「真っ直ぐを磨く。だって“へぼい”ボールしか投げられないのは分かっているから。もっとすごいボールを投げられるピッチャーになるために、普段の生活のところからしっかり考えていきたいです」
千賀はずっとこの調子だ。国際舞台で大活躍し“世界のSENGA”と持て囃されても浮かれない。謙遜というより、ちょっと自虐的なところもある。