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大谷翔平が社食で牛丼を食べた夜。
「時間の使い方」こそ一番の才能。
posted2018/11/26 11:00
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Nanae Suzuki
「翔平のプライベートな時間は、二刀流を続けるためにある」
「自由時間はすべて、自らを高めるために使っている」
こう語るのは、日本ハム時代に大谷翔平と同じ5年間を投手コーチとして過ごした黒木知宏氏。栗山英樹監督を含め、周囲の人が大谷翔平というアスリートを語るとき、決まって「時間」という言葉が使われるのが特徴的です。
投手と打者。大谷選手は前代未聞の二刀流をプロの世界で、しかも、信じられないような高い次元で実現させてきました。
24時間365日という、すべての選手に平等である「時間」。この「時間」と向き合い、「投手だけに時間を使う」「打者だけに時間を使う」のではなく「両方に時間を費やす」という至難の業をやってのけてきました。
そして、アメリカに渡っても、大谷選手こだわりの二刀流はさらに進化を遂げ、大リーグの舞台でも認められるスタイルになりました。
「社食に行きましょう」
黒木氏の口から大谷選手の時間の使い方の話題が出たとき、こんなエピソードを思い出しました。それは今から3年前の生放送終わりのこと。
「社食に行きましょう」
この年の2015年、オールスターの初戦に先発登板したその日の夜、番組に生出演してくれました。番組終了後、出演してくれた御礼に軽く食事に行きましょうと、番組スタッフがお店を予約しようとしたところ、彼はこう答えました。
「お店は予約していただかなくて大丈夫ですよ。僕はフジテレビの社食に行きたいです。社食に行きましょう!」
その10分後、大谷選手は夜深い時間のお台場フジテレビの社食で、社員に混じりながら美味しそうに牛丼を頬張っていました。