球道雑記BACK NUMBER
DeNAドラ2の株がこの秋、急上昇。
伊藤裕季也に漂う新人王の予感。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph bykyodo News
posted2018/11/21 08:00
明治神宮大会決勝の8回、逆転ツーランを放った伊藤は打った瞬間にガッツポーズ。
全国制覇に思わず涙。
だからこそ11月14日、悲願の全国制覇を達成した瞬間は、涙が止まらなかった。
「1年間の色んなことを思い出して……でも本当に苦しいことばかりで。そういうことを乗り越えてきたからこそ、ここまでこれたのかなって。自然と涙が出てきました」
試合で勝って流す涙は、人生初の経験だった。苦楽をともにしたからこそ、言葉がなくとも分かり合える。
この秋は3つの歓喜が訪れたが、そのうち一番実感があったのはこの明治神宮大会優勝だったという。それだけ監督を、そして「立正野球」を日本一にしたという想いが強かったのだろう。
同じくプロ入りの小郷との会話。
野球を大きく学び、知見を深め、技を磨いた4年間だった。胴上げが終わってから、東北楽天のドラフト7位指名を受けた小郷から、こんな言葉をかけられた。
「上手く行きすぎて、この先どうなるのかな?」
でも、その答えはもう出ている気がする。恩師・坂田精二郎がこの4年間、ずっと言い続けた言葉。
「準備次第で結果は変わる」
それを忘れずに日々精進し続ければ結果は自ずと変わってくるはずだから。そして苦しくなったら思い出そう。
「(野球を)楽しんでいるときは絶対に勝てる」
それが立正大学硬式野球部の合言葉だったから。