サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
遠藤航、万能タイプからの脱皮。
「ボランチなんだと認めさせたい」
posted2018/11/14 11:15
text by
小野晋太郎Shintaro Ono
photograph by
Takuya Sugiyama
最近の転職市場、スペシャリストが有利だと聞いた。一方会社では、ジェネラリストも重宝される。
自分は今後、会社で専門的な仕事をやり続ける「スペシャリスト」を目指すべきなのか。それとも管理職のような「ジェネラリスト」を目指すべきなのか。
次元が全く違うので恐縮だが、僕らのようなサラリーマンが迷う、小さくて大きなキャリア問題。時に、日本を代表する超一流のアスリートもぶち当たるらしい。
日本代表・遠藤航。
今から半年前。遠藤はロシアワールドカップのメンバー発表を目前に控えていた。
当時、浦和レッズに所属していた彼は文字通り当落線上の選手だった。
中盤でケガ人が出ればボランチで、DFラインにケガ人が出ればサイドバック。試合でも練習でも空いたポジションで、そのタイミングで監督に求められたことを高いレベルでこなしてきた。
いつも本職はどこだ、って。
だが、自分はここだ! という、ポジションがA代表ではまだ掴み切れていなかった。遠藤は自分の置かれている状況を誰よりも客観的に整理できていた。
「いっつも聞かれますよ、『適正ポジションは?』って。多分みんな、俺のプレーのイメージがないんですよ。『遠藤ってサイドバックなの? センターバックなの? 五輪だとボランチか、あいつの本当のポジション、どこなの』みたいな。普段から見てくれている湘南や浦和のサポーター、プロの選手なら、俺がやってきたこと、プレースタイルの良さを分かってくれてる。球際の強さとか、縦につけるパスのタイミングとか、ポジショニングとか。でもわかりづらいですよね。
だからA代表に少しずつ定着し始めたときに、やっぱり代表の試合しか見ない人たちからしたら、うん……極端な話したら『あいつなんで代表入ってんの?』、『なんで遠藤航なの?』って聞こえてくる。
こういうの一般社会だと、どう言うんですか? 色々と事業やってるし、なんとなく会社の中では評価はされてる感じはあるんだけど、本当にすごいところが分かりやすく見えないっていう(笑)。
なんでも器用にやるように見える人って、ぱっと見は評価されにくいのかな、でもそもそも一緒にプレーしている選手と監督に評価されることが一番大事だし、それはどこにいっても一緒だと思いますけどね」