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インドリーグの日本人サッカー選手、
久保木優は「ACLでJと戦いたい」。
text by
栗田シメイShimei Kurita
photograph byMinerva Punjab FC
posted2018/11/11 11:30
入団会見で何ともインド的な? 格好の久保木優。この地でACLを本気で狙っている。
サッカーで食べていくために。
自身のHPとSNS上にはインドでの生活を届ける4コマ漫画を掲載し、個人の擬似株式を発行し売買する『VALU』のサービスも利用するなど、活動の幅は広がり続けている。
今年の春には、自身と同じように海外に拠点を置く選手を集め、サッカー教室を開催した。企画書作りから、スポンサー集め、営業や会場のブッキングに至るまで全て自身で企画し、開催にこぎつけている。引退後の生活に苦労し、無気力になるサッカー選手も少なくないなか、久保木の感覚は稀有とさえいえるだろう。
「サッカーもピッチ外の活動も、自分の意思で好きなことをやっているだけです。僕自身に何か形にする能力があるとは思いませんが、人に恵まれ、周りを巻き込んで面白いことをやるのが楽しいんです。
『いろいろやって大変だね』と言われることもありますが、サッカー選手として24歳までどこからも契約してもらえなかったことに比べれば、それ以上に苦しいことはない(笑)。僕のようにJリーガーでもエリートでもない選手でも、サッカーで食べていける、ということを多くの人に伝えたいんです」
「101%の頑張りと粘りで」
10月28日のIリーグ開幕戦は怪我でベンチを外れたが、プレシーズンマッチでは9試合9得点を挙げ、チームの得点源としての位置を確固たるものにした。アフリカからの助っ人が開幕前に既に何人もチームを去った中、久保木への期待値は高まっている。
「僕のように日本で見向きもされなかった経歴の選手が、30歳を目前にしてACLに出るってすごく面白いじゃないですか。アジアの舞台でJのクラブと対戦できたら、と考えただけでワクワクします。下手だけど、101%の頑張りと粘りで点だけは取る。そんな日本人がチームをACLへと導くという物語を、自分自身が一番楽しみにしているのかもしれません」
取材の最後に、現実的にACL出場できる可能性は、と久保木に問うと「うまく噛み合えばですが、最後は僕次第かなと」とおどけてみせた。その口調はどこかふてぶてしく、逞しかった。