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インドリーグの日本人サッカー選手、
久保木優は「ACLでJと戦いたい」。 

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栗田シメイ

栗田シメイShimei Kurita

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photograph byMinerva Punjab FC

posted2018/11/11 11:30

インドリーグの日本人サッカー選手、久保木優は「ACLでJと戦いたい」。<Number Web> photograph by Minerva Punjab FC

入団会見で何ともインド的な? 格好の久保木優。この地でACLを本気で狙っている。

日本人が少ないリーグでこそ。

 遅咲きのストライカーには、27歳にして独特の嗅覚が芽生えつつあった。翌シーズンには、オーストラリア2部へと拠点を移す。入団テストでハットトリックを挙げ、即契約を勝ち取ることになるなど、自身の経験をピッチ上で表現する術も身に着けていた。オーストラリアでもシーズンを通して12得点を挙げ、確かな爪痕を残している。

 今年はウズベキスタンリーグへの参入も試みたが、契約には至らずに成長著しいインドへの移籍を選んだ。B級コメディ映画のような出来事が日常茶飯事のインド生活だが、アジアで培ってきた適応力をすでに見せ始めている。ここなら誰よりも輝けるという手応えがある、と久保木は力を込める。

「日本人が少ないリーグというのが、今の僕のチーム探しの条件です。だって、そこで活躍したら単純に気持ちいい。タイでも、オーストラリアでも、点を取ればファンに愛されるというのが何よりプロとして嬉しかったので。(同じインドの別組織)スーパーリーグほどの注目度はないですが、劇的に変わりつつあるこの国で、サッカーを通してインドでいちばん有名な日本人を目指したいというのも目標の1つです」

なんと5社のスポンサーが。

 '14年のスーパーリーグ開幕から、アレッサンドロ・デル・ピエロやダヴィド・トレゼゲが参戦し、翌年にはロベルト・カルロス、ディエゴ・フォルランも所属するなど、往年の名手たちの存在でクローズアップされたインドサッカー。

 だがスーパーリーグと違い、久保木が籍を置くIリーグの知名度はまだまだ低い。それでも、ネロカには遊佐克美、モフン・バガンには木脇悠太と2名の日本人が所属し、今後海外移籍を目指す日本人選手の受け皿となる可能性も秘めている。

 私が久保木に惹かれたのは、単純にサッカー選手としてというよりも、その人間性に起因するところが大きい。

 久保木は、ピッチ外で自身を表現することに秀でている。現在、彼には衣装提供などを含めると5社のスポンサーがついている。選手としての実績を考えると、これは特筆すべき数字だろう。

 メインスポンサーの『外房の家』の代表には初対面に近い状態ながら、「あなたのように夢に挑戦する若者を応援したい」とすぐに契約に至ったという。クリスティアン・ヴィエリとパオロ・マルディーニもかかわっているイタリアのカジュアルブランド『SY32』の場合は人づてを辿って担当者に会い、熱意を伝えて物品提供を受けるなど、自身の行動力で道を切り開いてきた。

「ありがたいことに、僕のような選手を応援してくださる方に恵まれていて。僕はスポンサーさんという言い方はせず、“パートナー”という認識です。自分の熱意とやりたいこと、できることを相手に伝え、真摯に関係性を築いてきたという自負はあります」

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