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坂本花織は思い切り泣き、笑った。
GPファイナルへ「待つだけ」。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAsami Enomoto

posted2018/11/10 11:30

坂本花織は思い切り泣き、笑った。GPファイナルへ「待つだけ」。<Number Web> photograph by Asami Enomoto

GPシリーズ2戦連続で表彰台に上がった坂本花織。ファイナル進出は他選手の今後の結果次第となった。

「緊張で全身が、がくがく」

 フリーは、ジャンプの1つでエッジエラーとなったものの、残る6つはすべて加点を得る出来。スピンとステップもすべてレベル4、ほぼ完璧に近い滑りを披露したのだ。

「緊張で全身が、がくがくでした」

 演技直後の心境を明かしてくれた。最初のジャンプを決めても「5%ほっとして」、というくらい。それでもやり切れた理由を、こう語る。

「中野(園子)先生から、『フリーは死ぬ気で頑張りなさい』と言われたので、死ぬ気でやりました」

 結果、フリーは2位、総合で3位と巻き返したのである。

 笑顔でありつつ、気がかりなこともあった。GPファイナル出場が微妙なことに対して、だ。2戦を終えた坂本は、今大会2位であればファイナル進出当確だったであろうことを考えると、なおさらだった。

フリーでしっかり切り替えた。

「あとは待つだけなので、時が過ぎるのを待ちます」

 それでも巻き返せたことは素直に嬉しかった。

「ほんとうにショートが駄目駄目だったんですけど、フリーでしっかり切り替えてできたのが収穫でした」

 昨シーズン、坂本はGP最終戦のスケートアメリカで自身初の200点超え。GP初の2位となり、その勢いのまま全日本選手権でも2位となって平昌五輪行きの切符をつかんだ。

 あれから数カ月が経った今、オリンピックに出場してからの変化について、こんな話をする。

「学校で、めっちゃ、声かけられます。『さかもっちゃーん!』みたいな感じで。見たことはあるけど、クラスが違うから(相手の子の)名前が分からなくて。男子からも、『かおり!』って言われます。呼び捨てか、って(笑)」

【次ページ】 ジャンプ以外も考えられる。

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