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連覇目前、“ドSな川崎”の動力源。
前門の虎・憲剛と後門の狼・守田。 

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北條聡

北條聡Satoshi Hojo

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photograph byAFLO

posted2018/11/09 11:30

連覇目前、“ドSな川崎”の動力源。前門の虎・憲剛と後門の狼・守田。<Number Web> photograph by AFLO

連覇が目の前に見えた川崎。チームの顔は中村憲剛だが、その後ろで支える守田英正の働きも渋く光る。

“止めずに蹴る”技術の高さ。

 面白いのは中村が敵に襲いかかると、周りのテンションも上がることだ。もの凄い勢いで二の矢、三の矢が放たれ、あっという間に獲物を仕留めてしまう。敵がこの狩り場をかいくぐっても、その先には後門の狼(守田)が待っている。逃げ道がないわけだ。

 今季の中村は敵のゴール前で、自ら奪い、運び、決める「独り舞台」を何度も演じてきた。苛烈なプレスからのノーパスゴールだ。まるで鳶(トンビ)に油揚げをさらわれたような相手は茫然自失。それこそ、穴があったら入りたい心境だったか。

 自ら先陣を切って狩りに向かう大ベテランの背中を見て、その場にボケっと突っ立っていられるような選手は、川崎に1人もいない。まさに号砲一発。衰えを知らない前門の虎がいかに重要な存在かがわかる。

 そして、攻めに回ると、敵の虚を突くワンタッチパスの炸裂だ。よく「止める・蹴る」が大切と言われるが、川崎の面々は「止めずに蹴る」技術がすこぶる高い。

 守備側が「捕まえた」と思っても、寸前でボールを逃がされてしまう。これが連続しようものなら、お手上げだ。まるでドミノ倒しのように人壁が崩れていく。

見事なワンタッチの縦パス。

 そんなブロック崩しのスイッチを入れるのが、後門の狼(守田)である。

 見事なのはワンタッチの縦パスだ。これで食いついた相手(守備側)は、まとめて置き去りにされてしまう。それが時に敵陣を鮮やかに切り裂くスルーパスにもなるから、相手は顔面蒼白、味方は拍手喝采だ。

 大卒1年目。いったい、いつの間に、こんなスゴ技を身につけたのか。日々、仕込んでいますから――と笑うのは中村だ。成長著しい守田の学ぶ姿勢、吸収力を買っている。

 最終ラインもこなせる体格と守備力も備えており、アンカーには打ってつけ。退団したエドゥアルド・ネット(現名古屋グランパス)の穴をあっさり埋めてしまった。攻撃大好きの先代は時に「暴走」して逆襲を浴びる悪癖もあったが、守田にはその手の心配がない。

【次ページ】 しかも、忖度上手。

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