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渡邊雄太「ただの夢から目標に」
NBAデビュー2年前の手記と決意。 

text by

渡邊雄太

渡邊雄太Yuta Watanabe

PROFILE

photograph byShizuka Minami

posted2018/11/05 07:00

渡邊雄太「ただの夢から目標に」NBAデビュー2年前の手記と決意。<Number Web> photograph by Shizuka Minami

ジョージ・ワシントン大学所属時の渡邊雄太。順調に成長し、日本人2人目のNBA選手に飛躍した。

2年生から主力の1人として。

 1年生の時はどれだけプレータイムがもらえるのか不安で、ほとんど出場時間がもらえないことも覚悟はしていました。けれど、シーズンが始まってみるとシックスマンとして試合に使っていただき、自分が想像していたより多くの出場時間を与えていただきました。活躍ができない試合もたくさんありましたが、本当に1年生から多くの経験をさせてもらいました。

 2年生となった今、スターターとして起用され、チームの主力の1人として試合に出させてもらっています。とはいえ、やはりものすごくレベルの高いカレッジバスケットでは納得のいかない試合が多く、まだまだ自分には成長が必要だと感じています。

 力のある選手を前にし、身体能力や体の強さで負けてしまう自分は、人よりも何倍も努力するしかないと思っています。そのため、ほぼ毎晩必ず体育館に行きシューティングをするようにしています。

父親との練習を思い出して。

 勉強もしなければならず、時にはしんどくて休みたくなる日もありますが、そういう時はいつも小さい頃に父親としていた練習のことを思い出します。特に、自分が中学生の頃は、学校の練習後に10km走り、その後家のリングを使い、1000本カウントを父親に手伝ってもらいながらやっていました。

 当時は本当にきつかったことを覚えています。しかし、思い返せば、僕が10km走る間は自転車で後ろを追いかけてくれて、シュート練習をしている時は、僕が1000本決めるまでひたすらリバウンドをとってパスを出してくれていた父親の方が相当しんどかったと思います。

 厳しい父親でしたが、僕のためにそこまで必死になってくれたことに感謝でいっぱいです。母親もまた僕のことを支え、励ましてくれました。練習でくたくたになって帰った僕をいつも笑顔で出迎えてくれたり、父親に怒られ落ち込んでいる僕に優しい言葉をかけてくれ、そのたびにまた頑張ろうと思えました。

 小さい頃からずっと努力をし続けてきた自分にとって、努力をするということは体に染み付いていますし、そういった経験を幼い頃からしているからこそ、今どんなにしんどくても乗り切ることができます。

【次ページ】 自分ならできると信じて。

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渡邊雄太
ジョージワシントン大学

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