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丸佳浩は“逆シリーズ男”なのか?
復活のカギは三振と四球にアリ!
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byNaoya Sanuki
posted2018/10/31 11:30
FA宣言の噂も出ている丸佳浩。カープに対するチーム愛も人一倍の選手だけに、悩ましい今オフになりそうだ。
「自分のスイングができていない」
「うまく攻められているというより、どうですかね……あんまりしっかり自分のいいスイングができていない」
試合後の通路。バスに乗り込むまでの短い取材時間で丸はこう語った。
「(相手投手に)攻め込まれているというより、捉えられる球をファウルにしちゃっているところがある」
ソフトバンク投手陣に抑え込まれているというより、やはり自分の問題だということだろう。
このシリーズでは12打数1安打で打点は第2戦にあげた1点だけ。もちろん本塁打は0で、逆に三振は実に8個を数える。唯一の安打となる右翼線二塁打を放った第2戦も、2三振とバットが止まらない。
反対に今季の丸の好調の証だった四球は、第1戦の1回に歩いた1つだけというところに苦闘が表れているように映る。
四球が少なく三振が多い!
もともと丸のようにカウントを作っていくタイプの打者は、フォアボールも多いが三振も多いのは仕方がない。
実際に今季はシーズン566打席でリーグ最多の130四球を奪った代わりに喫した三振も、まったく同じ130個で、これもリーグ最多(ちなみにパ・リーグ最多は西武・山川穂高内野手の138三振)。四球率と三振率はいずれもほぼリーグ最多の23%だった。三振を喫する数だけ、四球もとることができる。それが今季の丸の最大の特長だったのだ。
ところが今シリーズでは四球率は7%と1割にも満たない代わりに、三振率だけは57%と激増している。
しかもその三振も、追い込まれるとバットが止まらないことが多い。この試合でも第1打席の三振はフルカウントから外角高めの見送ればボールになるストレートに手を出したもの。第2打席も同じくミランダのボールになるチェンジアップにバットが空を切った。
8つの三振のうち7つが空振りというところに、本人が「自分のスイングができていない」と語る苦しさが出ているわけだ。