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田臥勇太以来の日本人NBA選手も、
渡邊雄太「まだスタートライン」。

posted2018/10/30 07:00

 
田臥勇太以来の日本人NBA選手も、渡邊雄太「まだスタートライン」。<Number Web> photograph by AP/AFLO

渡邊のデビュー戦となったフェニックス・サンズ戦。チームは117-96で勝利した。

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宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

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AP/AFLO

 渡邊雄太のNBA初得点は、フリースローだった。

 10月27日、メンフィス・グリズリーズ対フェニックス・サンズ戦。グリズリーズの2ウェイ契約選手の渡邊は、4Q残り4分31秒に交代で出場してコートに立ち、正式にNBA選手となった。田臥勇太が2004年11月と12月に合計4試合に出場して以来、実に14年ぶりの日本人NBA選手の誕生だ。

 その渡邊の最初の得点機会は、残り1分36秒にやってきた。自分より13cm背が低いトロイ・ダニエルズ(サンズ)にマッチアップされた渡邊は、そのミスマッチを突き、アグレッシブに攻めた。スピンムーブからのシュートで相手のファウルを誘い、フリースローラインに立った。

 すでにグリズリーズが22点の大量リードを取っており、勝敗を左右するような場面ではなかった。それでも、やることはいつもと変わらない。ドリブルを2回つき、ボールを回して手の中に収め、顔の前に構える。曲げた膝を伸ばしながら、手首のスナップをきかせてボールを放つ。バスケットボールを始めてから今まで、何万回と繰り返してきた動作だ。ボールはスパッと音をたててネットを通過。ほっとしたのか、表情が少し柔らかくなった。

2本しっかり決めきれた。

 2本目も同じルーティンでシュートを放ち、同じようにボールはネットに吸い込まれた。

 試合後、渡邊は日本メディアによる代表電話取材のなかで、初得点の場面を振り返った。

「最初の得点の形はフリースローだろうが、レイアップだろうが、ダンクだろうが、別にそんなにこだわりはなかった。あの場面は自分がガードにつかれていたんで、そのミスマッチをついていこうということで、アグレッシブに攻めた結果フリースローを2本もらえた。当たり前っていえば当たり前なんですけれど、あそこでフリースロー2本しっかり決めきれたのはよかったなと思います」

「フリースローは決めて当たり前」──それは、渡邊が小さい頃から、父・英幸さんに何度も言われてきたことだった。ディフェンスがいるわけでもなく、自分1人で、毎回同じ位置から、同じルーティンで打てるシュートだから、毎日練習し、試合でもその練習通りのことができれば入るのが当然、というのが父の信条だった。

【次ページ】 フリースローに特別厳しい父親。

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