オリンピックへの道BACK NUMBER
伊調馨、復帰戦で規格外の強さ。
「100%の自分が分からないので」
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2018/10/22 08:00
パワハラ問題で揺れた伊調馨だが、東京五輪へ向けて歩みを進めた。
東京五輪へ慎重な姿勢だが。
彼女の復帰までを知る大橋監督の言葉にも重みがある。
「伊調選手は、常に何かを背負って頑張るんだなというのがあらためて分かりました」
全日本女子オープン優勝で、伊調は12月の全日本選手権の出場権を得た。来年の世界選手権代表選考につながる重要な大会だ。
そして代表となって世界選手権に出場し、メダルを獲得すれば2020年の東京五輪代表に内定する。つまり5度目のオリンピックに、一歩踏み出したことになる。
しかし、伊調は慎重な姿勢を崩さない。
「オリンピックを目指すための100%の環境を作っていかないと。目指せる環境を作って、絶対崩れない気持ちを作ったら、5連覇を目指すという発言をしたいと思います」
リオ五輪までと違い、伊調にとって十分と言える練習環境は、現在も整っていない。そこに不安を抱いている。
それでも、周囲の思いも背負いつつ、34歳の女王は、より高みへ昇りたいという変わることのない探究心とともに、進んでいこうとしている。