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湘南でルヴァン制覇、A代表入りへ。
杉岡大暉の野心は“逆足”に宿る。
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph byAP/AFLO
posted2018/10/18 11:15
アジア大会決勝ではソン・フンミンとマッチアップするなど、杉岡大暉は着実に経験値を積んでいる。
右足を使うと景色が変わる。
しかし、アジア大会で一定の成果を収めた杉岡だが、帰国後のJリーグでは苦しい戦いが続いていた。
本人が「本当にドリブルやクロスを上げる回数も少なくなっていたのは感じていた」と分析するように、相手の対策に苦しみ、思うようなプレーを見せられなかったことでもやもやする時期もあったという。
それでも第27節のC大阪戦から突破口が見え始める。自分の中で何をすればいいのか。それをハッキリさせたことで、本来の力強さが戻ってくることを感じた。
「どうしても左足一本でやってきたところがあるので、縦を切られたら何もできないというのが多かった。そこで今は自主練で右足のドリブルなどを結構やっていて、試合でも右足を使う回数が多くなっている。細かいところだけど、それだけですごく景色が変わった部分があるんです」
シュートはまだまだ、だけど。
先日のルヴァンカップ準決勝・柏戦では2試合を通して、利き足ではない右足を使う場面が何度も見られた。「シュートはまだまだっすね」と苦笑いしていたが、これまでと明らかに違う“武器”を持ち始めたことがわかる。
「幅という意味では、まだまだやれるなと感じている。相手に意識させれば、全然持ち方も変わってくる。そこはどんどんチャレンジしていきたい。1回でもカットインから点が取れれば相手も警戒するし、それで縦が開けば突破できる自信もある。一本、得点は狙っていきたいですね」
現状に満足せず、常に進化を目指しているからこそ、新たな引き出しを生み出せる。それは杉岡の良さに他ならない。
そんな杉岡を一番近いところで見てきた曹貴裁監督は、彼の成長をこのように表現している。
「全体のアベレージが高い中で、いい意味で本当に安定している選手ですね。チームに1人はいなくてはならないみたいな選手だと思う。そういう意味では2年目でJ1の戦いを経験して、相手のことは肌感覚でわかったと思うし、そこは成長してくれているかなと思う」