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湘南でルヴァン制覇、A代表入りへ。
杉岡大暉の野心は“逆足”に宿る。
posted2018/10/18 11:15
text by
林遼平Ryohei Hayashi
photograph by
AP/AFLO
8月上旬。アジア大会を前にして杉岡大暉の口から出た言葉は、今までの彼からは想像できないものだった。
「やっぱり東京五輪まであと2年。代表は本当により意識するようになったし、本当に選ばれたいなという思いが強くなっているんですよね」
正直なところ、ここまで“代表”をハッキリと言葉にしたのは意外だった。
東京五輪世代の主軸に。
それはなぜか。
市立船橋高校で全国の舞台に立ち、プロ1年目から湘南ベルマーレでレギュラーをつかんだ杉岡だが、順調なスタートを切った中でも本心では日本代表はまだぼんやりとした存在だったからだ。
「もちろん選ばれなかった時には悔しさもあると思いますけど、そこまで絶対に選ばれたいという風には思っていないし、自分の中ではそこまで強いこだわりを持っていない。あまり試合に出られないのならば、自分にとって今は湘南でプレーすることの方が、“あっちの大会”に行くことよりも成長できると思っているところはありますね」
これは昨年5月に行われたU-20ワールドカップを前に、代表への思いを聞いた時の言葉である。東京五輪という明確な目標はあった。だが、目の前の世界大会に出場するよりも、自身の成長のためにはクラブでプレーする方がいい。現実的な思考の持ち主は、あまり大きく未来を捉えていなかった。
「そんなに今後どうなっていきたいかというのはあまり考えていなくて、とりあえず今は目の前のことだけに集中している感じですね」
あれから約1年と数カ月。東京五輪世代の代表に呼ばれ続けたことで責任と自覚を持ち、チームの中心メンバーの1人となったことでその思いに変化が生まれている。