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シャンパンと落胆が交錯する季節。
ダルビッシュ有も苦さを噛み締めて。 

text by

ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2018/10/14 09:00

シャンパンと落胆が交錯する季節。ダルビッシュ有も苦さを噛み締めて。<Number Web> photograph by AFLO

リベンジを期したカブスに、あまりにも早いシーズンの終わりが訪れてしまった。

カブスの球団史に残る惨めな日々。

 その中にはもちろん、ダルビッシュ有投手もいた。

「この数日間、本当にいろんなことを感じてました」

 ダルビッシュは静かに口を開いた。

「自分が期待されてカブスに来たのに、やっぱり何も力にもなれていないという状況で、それがずっと自分の中に刺さっていた。昨日(タイブレーカー)も今日(ワイルドカード・ゲーム)も、負けた後の皆の悔しそうな顔を見ていると、さらに悔しくなるという形でした」

 この数日間――。それはカブスの球団史に残るような惨めな日々だった。

 ペナントレースで猛追していたミルウォーキー・ブルワーズに、161試合目でナ・リーグ中地区の同率首位に並ばれた。全日程が終了しても決着がつかなかったため、翌日に開催された「1試合、余分」な163試合目の公式戦=タイブレーカーでも敗れた。

 勝ったブルワーズはナ・リーグ最高の96勝67敗(勝率.589)。敗れたカブスも同2位の95勝68敗(勝率.583)だった。それはナ・リーグ西地区王者のロサンゼルス・ドジャースの92勝71敗(勝率.564)や同東地区のアトランタ・ブレーブスの90勝72敗(勝率.556)より上だったが、プレーオフ出場時の「肩書」は「中地区王者」から「ワイルドカード」に格下げとなった。

 だから、地元メディアもファンも「ワイルドカード・ゲームでロッキーズに勝って、地区シリーズでブルワーズにリベンジする」というドラマを思い描いた。「昨季、優勝決定シリーズで敗れたドジャースにもリベンジして、2年ぶりにワールドシリーズに出場する」と期待した。

 そんな風に勝手に思い描かれた筋書きは、まさかの連敗で最悪の物語に書き直された。

ダルビッシュは批判に耐えて姿を現した。

 それを見届ける義理は、ダルビッシュにはなかった。

 6年1億2600万ドルの大型契約を交わしながら、右肘の骨ストレス反応と上腕三頭筋の肉離れで今季絶望となった。そういう不測の事態が起きた時、メジャーリーガーの多くは「リハビリ」と称して自宅のある町やキャンプ施設があるアリゾナやフロリダにいることが多い。

 それでもダルビッシュは、チームがシカゴにいる期間は可能な限り姿を現した。本題から外れるので、その理由をあえて書くつもりはない。だが、彼が周囲の批判や厳しい視線に耐え続け、最後まで「逃げなかった」ということだけは記しておきたい。

【次ページ】 1球団を除く全員が敗れてシーズンを終える。

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