沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
頂点はエネイブル&デットーリ!
凱旋門賞への日本馬の挑戦は続く。
posted2018/10/09 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
AFLO
舞台が変わっても、臨戦過程が完璧ではなくても、強い馬は強かった。
第97回凱旋門賞(10月7日、仏パリロンシャン芝2400m、3歳以上GI、19頭立て)を、ランフランコ・デットーリが騎乗する1番人気のエネイブル(牝4歳、父ナサニエル、英ジョン・ゴスデン厩舎)が優勝。史上7頭目の連覇を果たした。
僅差の2着には3番人気の3歳牝馬シーオブクラス、3着は9番人気のクロスオブスターズ。
日本から参戦した武豊のクリンチャー(牡4歳、父ディープスカイ、栗東・宮本博厩舎)は17着に敗れた。
最内の1番枠から出たクリンチャーはまずまずのスタートを切り、内の3番手にポジションを固定した。
切れるタイプではないが、その代わり、極悪の不良馬場になった昨年の菊花賞で2着、重馬場になった今年の京都記念で1着になったように、ヨーロッパの力のいる馬場への適性が見込まれた馬だ。
エネイブルの独走態勢から……。
武がレース前に何度も口にしていた「意外性」を引き出し、流れに乗って粘り込むには絶好の位置取りと言える。
そのまま向こう正面を進むうちに、クリンチャーの外にエネイブルが並びかけてきた。デットーリも、ここがベストポジションだと判断したのだろう。
3コーナーに入っても、クリンチャーが内の4番手、その真横にエネイブルという並びは変わらず、どちらも抜群の手応えだった。
フォルスストレート(偽りの直線)に入ると3番手につけていたデフォーが脱落。クリンチャーが3番手になり、エネイブルと馬体を併せたまま直線に向いた。
上位争いが可能な展開に思われたが、しかし、そこまでだった。
ラスト400m手前でエネイブルがスパートするとクリンチャーは一瞬のうちに離され、馬群に呑み込まれて行く。
ラスト300m。エネイブルが内の2頭を抜き去った。ラスト200m地点で独走態勢に入る。
ラスト100m地点で2馬身ほど抜け出し、圧勝かと思われたそのとき、外からシーオブクラスがものすごい脚で迫ってきた。1完歩ごとに差を詰め、馬体を併せたところがゴールだった。