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大谷翔平が日本の医師団からの
セカンドオピニオンを望む理由。
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph byGetty Images
posted2018/09/25 11:50
靭帯損傷の発表後は打者に専念する大谷。9月25日現在、打率.280、21本塁打、56打点の活躍を見せている。
心の中での疑問を解消できるか。
米国には多くの日本人、日系人の方が暮らしている。英語を母国語のように操り、何不自由なく生活されている方々は多い。それでも、年齢を重ねてくると変化が起こる。
病院通いが始まり、入院、手術など難しい判断を強いられるようになると、日本へ帰国される方が非常に多い。日本の保険医療制度が米国より素晴らしい部分もあるだろうが、帰国を決断された方が口にすることはほとんど同じだ。
「アメリカのお医者さんでは心の部分で通じ合わないことが多い。治療の是非でなく、心の中で疑問に思っていることをなかなか解消してもらえない。メンタルの部分で不安が拭えない。日本に帰り治療を受けることにしました」
先輩方の経験談を聞き、医師と患者の関係においては、生まれ育った文化がことのほか大事なのだと感じていた。だから、大谷がセカンド・オピニオンを日本に求めるのはごく自然な流れと感じる。
すべての可能性を模索して判断したい。
2度目の検査後、大谷が右ひじの治療法について胸中を語ったのは一度だけ。検査から2日後のことだった。彼が熟考を重ねる決意を固めているニュアンスは十分に伝わった。
「いくつかある選択肢の中で、1個1個、自分がもし、ステップを踏んだとして、この先どういう良いこと、悪いことがあるのかを把握できていればいい」
“すべての可能性を模索し、そのすべてにおいて考えられることを、医師と話しあい、判断していきたい”
彼はこう言っているのだと感じた。診断結果ありきで始まる医師主導の話でなく、大谷の頭の中を整理させてあげる会話と時間が必要なのだと。