野球善哉BACK NUMBER
優勝目前の西武、たった1つの懸念。
「経験」の差を補う方法はあるか?
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKyodo News
posted2018/09/25 16:30
若い西武ライオンズに「経験」の力をもたらす1人、中村剛也。彼の背中から若手たちは多くのものを吸収している。
栗山「やることは一緒なんですけど」
とはいえ、経験者の発する言葉とは違いがあるのも事実だった。
経験者の1人、栗山巧は決戦前にこう語っていたものだ。
「やることは一緒なんですけど、結局、この時期は意識しなくてもワンプレーが重くなってきますよね。でもそんなことを意識して考えるくらいやったら、自分がどのようにしていいスイングするのか、どうやったらいいプレーできるかを考えてプレーすることが大事なんですよ。やることは一緒なんやから」
いわば、栗山ら経験者の境地に、未経験の選手たちが真の意味でたどり着けるかどうかが、西武にとって10年ぶり制覇に必要なファクターだったというわけだ。
秋山は「(天王山が)楽しみというわけではない」と前置きしたうえで、こう気持ちを高ぶらせた。
「当然、ここで勝てば成長できるところもあるだろうし、(そうでなくても)経験できることもあると思う。この位置にいないと、この時期まで大変なプレッシャーがかかる試合は体験できなかったわけですから、その中ではねのけられたら前進できるのかなと思います」
山川は優勝争いを「意識しまくる」。
また「優勝争い、タイトル争い、意識しようと思う」と語った山川も連戦への覚悟をこう言葉に込めた。
「シーズンのここまで、毎日ホームランを打つための準備をしっかりして、試合でどうなるかと思ってやってきました。その中で勝った負けた、打った打てなかったがあって、次の日打つためにどうすればいいかを繰り返してきた。その現実からは逃げてきたつもりはないです。
だから、優勝争い、ホームランや打点のタイトル争いも意識しまくっていきたい。ただ、打席の中で何を考えるかといったらできることをやる。いかにホームランを打つか。そのことしか考えていないですね」
連戦の初戦となった14日の楽天との戦いをエースの力投と打線の爆発で最高のスタートを切ると、翌15日からはソフトバンクとの3連戦を迎えた。西武の先発は3年間、勝ち星がない郭俊麟で、ソフトバンクはエース格の千賀滉大だった。
試合は初回からいきなりに動く。
西武は1回裏、1死満塁と攻め立てると千賀の暴投で1点を先制。さらに、カウント2-2から5番の栗山が左中間を破る2点タイムリーを放ち、3-0と幸先よく先取したのだった。
やはり、こういう場面でのベテランは頼りになると誰もが思ったに違いない。