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打者・大谷翔平の進化が急激な分、
ブランクの発生がなんとも口惜しい。 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byAFLO

posted2018/09/23 08:00

打者・大谷翔平の進化が急激な分、ブランクの発生がなんとも口惜しい。<Number Web> photograph by AFLO

大谷翔平の「野球少年」然とした佇まいはメジャー移籍後もまったく変わっていない。この笑顔が守られることを祈りたい。

相手投手のマークをものともせず。

 開幕と同時に華々しい活躍をした大谷は、5月に入ると成績が下降線を描く。相手投手が大谷をマークし始めたからだ。その矢先の6月9日、投手・大谷が右ひじを損傷してPRP治療を受けることになりDL(故障者リスト)入り。打者・大谷も休まざるを得なくなった。

 7月3日に打者大谷はDLから復帰。当初はもたついている印象があったが、8月からめきめきと打棒がふるいだし、9月に入るとRC27は12.09と驚異的な数字になった。

対左投手も、2番での成績も短期間で向上。

 トータルの成績だけでなく、内容的にも進化の跡が見える。

 春先の大谷は、実は左投手が打てなかった。

 6月にDL入りするまで、左投手に対して19打数2安打5三振4四球の打率.105、本塁打も打点もなかった。しかし7月以降は64打数15安打2本塁打10打点、打率.234。今や「オオタニには左投手をぶつけておけば大丈夫」とはいえなくなっている。

 また大谷は、2番打者で結果が出ていなかった。初回に大量点を奪うのがセオリーになっているMLBでは、2番に最強打者を据える。エンゼルスではトラウトの指定席になっており、今季も80試合で2番を打った。

 エンゼルスのソーシア監督は5月15日と16日のアストロズ戦で1番トラウト、2番大谷というオーダーを組んだ。長打もあり足が速く安打も打てるトラウトと、トラウトに次ぐ長距離打者である大谷を、立ち上がりから相手先発投手にぶつけたのだ。

 だが大谷は、2試合で1安打しかできなかった。前述したように16日の先発がバーランダーだったことも大きいが、8打席で4三振だった。

 ソーシア監督は「2番大谷」というアイディアを一度はお蔵入りさせたが、DL明けの7月25日のホワイトソックス戦で再び大谷を2番で起用した。この試合で大谷は、5回にジェームズ・シールズから2ランホームランを打った。

 さらに9月4日のレンジャーズ戦でも2番に起用された大谷は、マイク・マイナーから6回表にソロホームランを打っている。

 こういう風に、打者・大谷翔平は短期間に課題を次々と解決し、結果につなげているのだ。

【次ページ】 投手的には即手術が最善なのだろうが……。

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