酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
打者・大谷翔平の進化が急激な分、
ブランクの発生がなんとも口惜しい。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byAFLO
posted2018/09/23 08:00
大谷翔平の「野球少年」然とした佇まいはメジャー移籍後もまったく変わっていない。この笑顔が守られることを祈りたい。
投手的には即手術が最善なのだろうが……。
DL入りの期間、大谷はチームに帯同して試合を見続けていた。この間にMLBの投手の球筋や配球について学ぶことが多かったのではないか。その経験が後半戦に生きたのではないか。クレバーな選手だとしみじみ思う。
まるで勉強の楽しさをわかり始めた子供が応用問題をどんどん解きだすように、大谷は進歩し続けているのだ。
桑田真澄さんらも指摘するように、投手・大谷翔平にとっては、ためらうことなくトミー・ジョン手術をする方がいいだろう。しかしそうなると、長足の進歩を始めた打者・大谷翔平も、歩みを止めてしまう。
トミー・ジョン手術をすれば、最低でも15カ月は投手大谷はメジャーのマウンドに立てない。そして打者大谷も、おそらく10カ月以上はメジャーの打席に立てないだろう。
NPB出身の日本人として、かつてないスケールの打者に成長する可能性が見えてきた打者・大谷翔平は、投手・大谷翔平の治療のために大きなブランクができてしまうのだ。
こんな「二刀流のジレンマ」に直面するとは、本人も周囲も予想外だっただろう。
エンゼルスの残り試合はあと10試合を切った。残り少ない試合で、大谷翔平は思い切り野球を楽しんでから、病院に行くのだろう。
切ない話だが、彼の復活、今後の投打ともの活躍を願わずにはいられない。