球体とリズムBACK NUMBER
いま、梅崎司が大きく見える理由。
「湘南で新たな野心が芽生えている」
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byYoichi Igawa
posted2018/09/26 07:00
湘南ではキャプテンマークをつける機会も出てきた梅崎司。円熟のアタッカーとしてチームの屋台骨となった。
「やったことのない負荷」の練習。
そんな想いを抱きながらも、浦和には10年間在籍。このオフには契約延長のオファーも提示された。でもこの状況が続いていけば、「そのままフェードアウトしていくような気がして。選手として、大きく変われることはもうないだろうな」と考えた。
そんな矢先に、湘南ベルマーレからオファーが届いたのだった。
「チョウさんと話した時に、自分の胸の内をすべて言い当てられたんです。お前の良さはこうで、本当はもっとこうプレーしたいんじゃないか。もっと上に行けるはずだし、もっとのびのびプレーさせてあげたい。そんな風に言われて、心は決まりました」
新天地でのデビューシーズンは昨季に負った怪我のリハビリから始まった。復帰して全体練習に入ると、最初は「やったことのない負荷」に面食らったが、自分がこの厳しい練習を求めていたことを確認する。
「想像通りのきついトレーニングだったけど、ポジティブに捉えていました。これでまたフィジカルが戻ってくるだろうな、と。それに心もすごくリフレッシュされている感覚があって。自分の狙い通りというか、本当に来てよかったです」
チョウ監督も認める“梅崎効果”。
かくして31歳の心身はいま一度鍛えられ、その効果が数字にも現れ始めている。8月31日のV・ファーレン長崎戦で今季のリーグ初得点を挙げると、5日後のルヴァンカップ準々決勝のセレッソ大阪戦と、9月14日の鹿島アントラーズとのJ1第26節でもゴールを決めた。先週末(9月22日)のC大阪とのリーグ戦では得点こそなかったものの、際どいミドルを放ったり、ボール回しの中心でゲームをつくったりして、若いチームを引っ張った。
腕章を巻いた1年目の背番号7は、すでに湘南のリーダーのひとりだ。
「うちみたいな若いチームにとって、30(歳)過ぎの選手が基準を上げるようなプレーを見せてくれるのは、すごく大きい」とチョウ・キジェ監督は梅崎について語る。「今日(のC大阪戦)も12キロ近く走って、非常に献身的にやってくれている。若いヤツらには学んでもらいたい。いいテンションが生まれているよ」