Sports Graphic Number MoreBACK NUMBER
大坂なおみが語っていたセリーナ観。
「倒すのをためらうなんて失礼よ」
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph byGetty Images
posted2018/09/11 17:00
3月のマイアミ・オープンでセリーナに勝利した大坂なおみ。この半年後、同じ相手との決勝戦で初のグランドスラム制覇を成し遂げた。
せっかくのセリーナメモなのに。
――そのサーシャは、セリーナが自分を鼓舞するために書いた“セリーナメモ”をあなたに見せて、モチベーションを上げたのだと言っていました。本当ですか?
大坂 ええ。彼はセリーナが書いたメモを写真に撮っていて、それを全豪オープンの時に見せてくれたんです。でも……正直に言うと、どんなことが書いてあったかはよく覚えていなくて(笑)。
――えっ!? 覚えてない? 憧れのセリーナの言葉なのに?
ADVERTISEMENT
大坂 だってそこに書いてあった言葉を読んでも、私はあまりポジティブな気持ちにはならなかったから……。
――欲していた言葉ではなかった?
大坂 違いましたね。私にとっての“ポジティブな考え方や姿勢”とは、相手をリスペクトすることであり、それがインディアンウェルズでも上手くいった理由だったんです。でもセリーナのメモは、そういう感じではなかったから……だから具体的には覚えていないし、私がセリーナの真似をしても、上手くいかないって思いました。私らしくいることの方が大切だなって。
リラックスしろ、楽しめと言われ。
――相手をリスペクトし、なおかつ闘争心をもって倒しにいくのは難しくないですか?
大坂 そんなに難しいことではないですね。私にとってのリスペクトとは、怒りの感情を表に出さず、相手に失礼にあたる態度を取らないことなので。対戦相手も私と同じくらい勝ちたいと思っているはずだし、同じくらい勝つための努力を続けてきたはず。だから相手が誰かにかかわらず、簡単に勝てると思ってはいけないというのが、私にとっての「相手へのリスペクト」なんです。
――では、これまでにサーシャが掛けてくれた言葉で印象に残っているのは?
大坂 うーん……どんなこと言われたかな?(笑)「リラックスしろ」はいっぱい言われました。「楽しめ」とも。それに彼は、誰が相手だろうと私には勝つ力があると確信しているようでした。