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大坂なおみが語っていたセリーナ観。
「倒すのをためらうなんて失礼よ」
posted2018/09/11 17:00
text by
内田暁Akatsuki Uchida
photograph by
Getty Images
どこにあるのか、新コーチや女王セリーナとの対戦などをキーに彼女の
独特な考え方を語ってもらった。全米オープン優勝を記念して、
Number952号(2018年5月17日発売)の特集記事を全文掲載します!
「未来の女王候補」――16歳の時に出場したバンクオブザウェスト・クラシック(スタンフォード開催)で、19位のサマンサ・ストーサーを破る衝撃デビューを果たした頃から、彼女はそう目されていた。
それから4年。彼女は、3月にグランドスラムに次ぐ格付けのBNPパリバ・オープン(インディアンウェルズ開催)を制し、自身にそのポテンシャルがあることを証明する。覚醒の背景には、女王セリーナ・ウィリアムズの元ヒッティングパートナーであり、今季からコーチに就任したサーシャ・バインの存在もあった。
激動の日々から約1カ月――大坂なおみに、新コーチとの取り組みや現在地を語ってもらった。
サーシャコーチの人柄が好きに。
――優勝した後は、多くの変化があっただろうと思います。どんな1カ月でしたか?
大坂 私自身や周囲の人達は、何も変わっていないと思います。ただ、マイアミ・オープンの次に出場したチャールストン大会の時には、色んなことが変わったと感じました。多くの観客が私の試合を見に来たし、物凄く長いこと話していなかった人達が連絡してきたり……。でももちろん、ファンが増えてサインや写真を撮る機会が増えたのは楽しいです。特に子供にお願いされた時はうれしいですね。
――今季成績が出せているのは、新コーチのサーシャの存在が大きいのではと思います。彼を雇ったのは、彼がセリーナのヒッティングパートナーだったから?
大坂 そういうわけではないんですよ。むしろ私は、彼がコーチになったら気まずい雰囲気になるのではと思ってたんです。だって、私がセリーナに憧れていることはみんな知っているでしょ? もしコーチにしたら、周囲の人達は「彼がセリーナの元ヒッティングパートナーだからだ」って思うだろうし、彼自身もそういう風に考えちゃうかもしれないし。
でも彼と話をした時に、まず人柄が好きになりました。それに彼は、私が「こういうボールをここに打って」と頼むとそれをきちっとやってくれたので、コーチとして最適だと感じたのもあります。