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トミー・ジョン手術ちょっと待った!
大谷翔平、完全復活へ熟慮すべき。
posted2018/09/07 15:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
USA TODAY Sports/REUTERS/AFLO
いい話と悪い話と両方あるけど、どっちから聞きたい?
9月6日(現地時間5日)のロサンゼルス・エンゼルス、大谷翔平投手のことを伝えるとすれば、こう聞かなければならないだろう。
と、いうことでまずいい話から。
とにかくえげつないほど打者・大谷の才能はすごいということだ。
この日のテキサス・レンジャーズ戦に「三番・指名打者」で出場した大谷はレンジャーズの先発バートロ・コローンと対戦。コローンは今年で45歳となるメジャー最年長投手で、まさに親子のような年齢差での対戦となった。
初回の第1打席は四球を選んだ。3回はフルカウントから三塁に内野安打。そしてピッチャーが代わって迎えた5回の打席だ。
ビベンス=ダークスが投じた初球の真ん中からややインサイド寄り、90マイル(145キロ)のストレートを高々と打ち上げて右翼席に運ぶ17号本塁打。
これで2003年にニューヨーク・ヤンキースの松井秀喜さんが放ったルーキーイヤーのシーズン本塁打をあっさり更新すると、今度は7回に中前安打を放った後の8回だった。
1死一塁、カウント3ボール1ストライクからの5球目。
右腕のエディー・バトラー投手の真ん中高めに入ってきた88マイル(142キロ)のチェンジアップに右肩を開かずかち上げるように打ち返した打球は、ライトのフェンスと客席の間のスペースへと飛び込むホームランとなった。
2戦連発、1試合2発という驚異的打棒。
2本とも滞空時間の長い大きな放物線は、いかにも大谷らしい打球。
2本目は決して会心という当たりではなく、本人も二塁を回る寸前まで本塁打かどうかを半信半疑の様子で確認していた。それでも持っている絶対飛距離にものを言わせて、フェンスを越えるところまで運んでホームランにしてしまった。そんな打球だった。
メジャー2度目の2戦連発。しかも1試合2発もメジャー2度目。この18号で日本人のルーキーイヤー最多本塁打となる2006年のシアトル・マリナーズ、城島健司捕手の記録にも並んだ。
2本目の本塁打に地元テレビの実況アナウンサーは「なんという夜でしょう! 信じられません。全く信じられません。ショウヘイ・オオタニ!」と絶叫したが、本当に信じられないのは、この日の試合開始2時間前にエンゼルスから発表された最悪の事態があったから尚更である。
ここからが悪い話だ。